2023年・青森県東部巨樹探訪3

〇3日目:「全国巨樹・巨木林の会」のエクスカーションに参加

 八戸市で迎えた3日目。
 本日も「全国巨樹・巨木林の会」のイベントに参加しますが、前日とは違い、文化会館を飛び出してのフィールドワークですよ。
 すみやかに朝支度を済ませ、30分前に階上(はしかみ)町入り、セブンイレブンのコーヒーマシンの後ろの「巨木を語ろう 青森・階上大会」のポスターを再び眺める。

 文化会館のホールに集合しましたが、おや、昨日よりも明らかに人出が多い!
 おそらく毎回のことですが、エクスカーション(野外調査)を楽しみに、この日だけ参加される人もけっこう多い。
 さらに言えば、若手の姿も増えています。
 わたくしも、前職では30代後半でも若手と呼ばれる世界におりましたが、ちゃんと若い方がいるのは喜ばしいことですよ。
 ええ、ほんとに。

 エクスカーションの内容について、ざっと解説してみましょう。
 それぞれ内容が違う3コースの中から、事前予約しておかねばなりません。

 1:三陸復興国立公園 階上海岸と巨木コース

 2:八戸キャニオンと巨木コース

 3:はしかみの里山の風景と巨木コース

 いずれも10か所前後の巨樹を、巨樹に詳しいガイドさん付きのバスで巡ってくれます。お昼ご飯付き。
 さあ、アナタならどれにしますか? みたいな。

 1は海沿いをメインに進むので、多分、海鮮食べたんじゃないかなあ。
 2の「八戸キャニオン」というのは、でっかい石切り場らしい。
 「生もの食べられなくて損するのでパス」により、1については5秒で諦めたのですが、2と3では訪問する巨樹ラインナップが微妙に違っており、悩んだすえに3を選択しました。
 (昨日ご挨拶した佐久間隊長も同じコースで、ご一緒できて楽しかったデス。)

 という感じで時間となり、バスに分乗、出発。
 ……と、5分も走らずに一か所目の「天頭台のアカマツ」に到着してしまうわけですが。笑

 巨樹それぞれについては個別ページで書きましたので、写真をクリックしてお読みくださいね。

「天頭台のアカマツ」
「館神社のモミ」
「上野家のサワラ」
「銀杏ノ木窪の大銀杏」

 お昼には、ジャズ喫茶にしか見えない内装をもつお蕎麦屋「東門」に連れていってもらいました。
 名物の「早生階上そば」を食べられると聞いて、ひそかに楽しみにしていたんですよ。
 東北のそばはウマイですから……おいしさのあまり写真撮り忘れてしまいましたけどね。

 会の方々との会話も実に楽しい。
 「〇〇の××」と巨樹名を一度言っただけで100%通じるというのは、外世界(?)ではありえないこと、感激ひとしおです。
 公共事業や環境系企業関連の方々も参加されてますが、マニア同士のハイペースなやり取りには「なんでそれだけで通じるんですか……」と、苦笑いされてました。
 まったくその通りだと思います。

 隣接する「寺下観音」の敷地は、管理者の方が土壌から水流まで整えた濃い社叢があり、巨樹/準巨樹サイズのイチョウ、スギ、モミ、ホオノキ、トチノキ……などを見られます。

 「寺下観音のフジ」。フジは巨樹としてはイレギュラーな立ち位置ですが、ここのはかなり迫力がある。
 もともとは別の木に巻き付いていたものが、今では例の「絞め殺しの木」のごとく、吞み込んでしまっています。

 頭上はなんというかこう……ひどくスパイダーなことに。笑
 完全に支配されてしまっていますね。フジってこわい。

 庭園的に管理され、広い被覆面積をもつ「龍神之松」というアカマツも。
 300年に渡って連綿と手入れが続けられており、デリケートで手数が要るため、大変なんだとか。
 「巨樹」とあっけらかんに呼ぶよりも、「文化財」としたい存在感がありますね。

 続く午後も、「これでもか!」というほどの巨樹三昧ですよ。
 各記事にも感嘆した旨を書き連ねていますが、これだけ弾数を繰り出しているのに樹種がかぶっていない! すごすぎる。
 多くの巨樹が個人所有である上、複数種類の巨樹を有しているお宅もあって、終始驚かされっぱなしでした。

 青森って、明らかに日本の中央部ではないですし、ガイドなしでは訪ね難いというハードルもあるかと思います。
 それでも、これらの個性豊かな巨樹たちが知られないのはかなり勿体ない。
 ぜひ各巨樹ページを覗いてみてください。

「茨島のとちの木」
「平のサイカチ、オオバボダイジュ」
「栁沢家のアサダ、カツラ」
「日吉神社のハリギリ」

 階上町の年間平均気温は10.6℃しかなく、国立公園に指定されている海沿いでは標高に見合わない高山植物が生育している場所もあるそうです。
 独特の環境と古来の文化を大切にする人の心とが協調していく中で、目に見える形をとったものが、これら豊富な巨樹たちなのでしょう。
 「山の巨木は自然の豊かさを、里山の巨木は人の心の優しさを伝える」
 ……という、まさにこの主題の通りだと感じました。

 最後に道の駅に立ち寄り、お土産に「早生階上そば」を買いました。
 帰って食べましたが、やはり美味しく、もっといっぱい買ってくればよかったです。
 ひとつは残しておいて、年越しそばにする予定。

階上町の物産でございます

 大変に濃密な一日でした。
 お読みの皆さんも、ぜひ巨樹探訪に階上町へ足をお運びください。
 ガイドが必要な巨樹も多くありますが、自治体の巨樹に対する認識が深いため、問い合わせれば通りは良いはずです。

 欲を言えば、今回、個々の滞在時間がもっともっと必要でしたね。
 見せたい巨樹が多いために……いや、ホントどれも素晴らしいのは確かなんですが……、どうしても駆け足になってしまう。
 この熱量見てよ、朝7時集合でも誰も文句言いませんよ!? と、書いておこう。笑
 特に「茨島のトチノキ」、「銀杏木窪の大イチョウ」、「栁沢家のアサダ」なんかは、時間をかけてじっくり眺めてたくさん撮りたく、後ろ髪引かれました。
 再訪、ぜひしたいです。
 

 自家用車派は案外少ないらしく、皆さんそのままバスを乗り換え、駅方面へと送られてゆきました。
 またお会い出来たらうれしいです。

 ……さてと。
 最大のイベントが無事終わり、つい八戸の安宿に引き返してしまいそうになりますが、この晩は宿を予約していませんでした。
 出発直前まで予定は生煮えでしたし(岩手の広さを完全に侮る、など)……
 「ツーリングマップル」を開くだけ開き、別段よく読みもせず、閉じ、十和田湖方面へと走り出しました。

 時間はここで16時すぎ。
 本日中にさらに撮影を欲張るのは無茶でしょうし、ならば明日の早いスタートに賭けるのみ。

 十和田湖温泉に到達。
 温泉地だから、お風呂に困らないのは良い。良い。
 「ポニー温泉」に入湯。

 大変気前よくじゃんじゃん流れてる源泉を浴び、非常に気持ち良かったのですが、シャンプー類が置いてないので車中泊勢は注意したほうがいいですよ。
 メガネなし、(ああ、コレがきっとそうだわ……)と、あやうく地元のおじさんのを使いそうになりました。
 フルサイズのシャンプー、コンディショナー、ボディーソープ持ち歩くって、すっげえ。

 ストリートビューの写真は昼間だからあのように見えますが、実際は……余暇を楽しむ気も簡単に塗りつぶされるほど真っ暗です。
 しかも、観光地だからか、食堂は軒並みランチのみみたいで……結局、ローソンで弁当をイートインすることに。

 食堂はないものの、「道の駅奥入瀬」の駐車場のマスは実にいっぱいある。
 ほどよいところに停泊すると、たむろしていた若者と入れ替わりに夜明かし装備の車が集まってきて、ちょっとした集落が形成されていきます。
 集落ったって交流はなく、無音なんですけども、「身を寄せ合ってれば安心」みたいな空気がちょっと面白い車泊世間。

 長い車中泊の夜、クーラーボックスの上でノートPCを開き、今日出会った巨樹の所感を忘れないうちに書き留めておくことにしました。
 明日以降の予定も考えておくべきで、気分次第では日程延長……もできなくもないけど、それも明日次第か。
 この心境も、今日の満足感がかなり高かったから。ありがとう階上町。

 まあ結局、明日のことは明日考えればいい。
 おやすみなさい。

(つづく)

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