話を巨樹に戻せば、そんな急峻きわまりない立地に力づくで根を踏ん張り、幹周囲9メートルという大きさにまで成長した大杉です。
低木の茂りに隠れたこの根の、象が立ち上がって踏ん張っているかのような力みようはすごい。
やはり、かなり下の方まで掌握しないと巨体を支えきれないわけで、斜面を覆うかのように根が巨大化しています。
神社までの石段も恐ろしく急で、手すりもない。
ほとんど四つん這いになるようにして、実際時々手をついて登りました。
そんな我々を、すぐそばで巨大な幹が見下ろし、その根が石段の端をめくりあげ、壊しつつある。
手を触れながら見る周囲9メートルの幹というのはかなりの迫力ですが、立地ゆえ、この杉は石段の途中で立ち止まって見上げることを許さない。
その先端を見ようとしてひっくり返ったらと思うと、思い出しただけでもぞっとします。
なので、とりあえずは黙って最上部まで登る。と……。