2023年・青森県東部巨樹探訪2

〇2日目:「全日本巨樹・巨木林の会」のフォーラムに参加

 青森県八戸市の安宿で迎えた朝。
 窓エアコンがあるのはいいが、そのせいでちゃんと閉まらず(もちろん鍵もかからない)、7階なのに手すりすらないこの窓には、これ以上近寄らないようにしましょう。

 長距離移動の疲れで昨晩はストンと寝付けました。
 買い込んであった菓子パン牛乳等で朝食し、共同洗面所で身支度を整え、さっさと出発。
 この日の予定は厳密に決定しているものの、10時に間に合えばよいので、朝から寄り道です(この展開は北海道でもやりましたが)。
 15分ほど走って、「七崎神社」へ。

「七崎神社の大杉、ヒバの巨樹」

 「ななさき」ではなく「ならさき」と読むらしいここでは、青森県でほぼ最大級ともされる大杉を見ることができます。
 そういえば、リサーチ上も他県ほどスギ巨樹が出張ってこない青森県。やはり独特です。

 三本ある大スギや森厳とした神社の雰囲気も良かったですが、ヒバの巨樹があったのには驚きました。
 スギ、ヒノキともまた違った雰囲気を醸していて、一見の価値ありとおすすめできますよ。

 そこから30分ほど走って階上(はしかみ)町へ。
 今回青森県までやってきた主目的である「全国巨樹・巨木林の会」のフォーラムに参加します。
 計画通り少し早めに現地近くまで来たので、セブンイレブンでコーヒーを買い、マシンが100円分の仕事を成し遂げるのを見守る、その背後にはしっかり「巨樹の会」フォーラムのポスターが貼ってありました。
 町を挙げての歓迎を感じ、まことに光栄です。

 町の文化会館「ハートフルプラザはしかみ」がその会場。
 ホール前には北海道大会以来となる、会の重鎮の方々が集まっておられました。

 階上町が誇る巨樹のパネル展示などもある。
 いやこれ……巨樹マニア垂涎といいますか。がぜん期待が高まるじゃないですか。

 予定が合わず訪問を断念したり、直前に倒壊してしまった巨樹もあって、しばし熱中して見てしまいました。

 会場では、うっかり来賓席の真ん前に座ってしまいましたが。
 三宅島のスダジイ巨樹を大量発見・登録された佐久間隊長にも実に5年ぶりにお会いでき、長かったコロナ禍を改めて痛感。
 延期を挟んで三宅島フォーラムを成功させた後に怪我をされ、今は元々の住まいである北海道へと戻られたと聞いていましたが……

 「いやあ! 草刈り中に足を切断してしまいましてね。何とも情けない! くっつけたんですが、2センチ短くなってしまった!」

 ……とか、片方だけ厚底の靴を指されましたが、え、ええまあ、そう、思っていたよりお元気そうでホッとしましたよ。

 そんなこんなで会が始まりますが、この日は総会と座学(?)です。
 一年の活動報告やら質疑(ひこばえ群の計測方法に関するアツい議論とか)があった後、階上町の青年団が獅子舞の「道仏神楽(どうぶつかぐら)」を披露してくれました。
 歳食ったせいか、こういうのも単純に嬉しいもんじゃないかと思えるようになってきましてね。
 ソロで巨樹巡りに来たらまず見られるもんじゃないし、体験する機会をもらえてありがたいってもんです。
 ましてや神楽ですしねえ。ありがてえ、ありがてえ。ドンドコ、ドンドコ。

 続く、東大の准教授先生による巨樹の存在感と街づくりについての講演も同様です。
 わたくしの人生、普通に生きてたらこんな講義を聞けるチャンスにはそうそう巡り会えない。大変興味深く聞きました。
 巨樹についてのアカデミックな話題のみ、ここまで熱く飛び交う。すごい時間だったなあと回想。

 来年、2024年10月は福井県大野市での開催だそうですよ。
 市長さんとその手下たちがアピールしてくれました。
 大野市は一度訪問しましたが(「専福寺の大ケヤキ」など)、この際、再訪のきっかけとするのも楽しそう。

 夕方、八戸へと戻ってきて、しばし街をうろついてみる。
 港町の風情も感じつつ、大きくて古い、八戸。

 知らない街を歩くと、ここで暮らしたらどんなもんだろう? といつも考えるんですが、八戸なら、自分にとっては案外懐かしい感じかもしれない。
 たとえば、そう、敦賀に近い感じかな……とか。

 陽が落ちるとほぼ真っ暗になってしまったので、(たしか)セブンイレブンで弁当を買って宿に帰りましたが、

 この安宿、現場の方や学生のスポーツ合宿にも重宝されており、食堂スペースがあるんですが、ごった返している。
 おまけにいい匂い……カレーか!? いっそここで飯を食うんだった……と後悔するわけですが、いやまて、経験上、こういう時さらに警戒せねばならないのが風呂ですよ風呂。
 さして大きくもない大浴場のみなので、一番風呂で済ませない限り、センセイでもないのに修学旅行的風景にぶち込まれてしまう!
 不本意!

 ……ええ。
 そうしてスピードアップした結果、20時には一日の全て が片付いてしまいました。

 まあ、シンプル第一のこの部屋(ちゃんとタオルが用意されていたのが意外すぎる)も、2日目ともなれば我が家みたいなもんですよ。
 明日はいよいよ階上町の巨樹群の探訪ツアーです。期待してカメラのバッテリーを充電する!
 (つづく)

4件のコメント

  • to-fu

    おおお…巨樹パネルを見るためだけに青森まで突っ走りたくなります 笑
    先日野間の大ケヤキのところの学芸員さんに巨樹写真展やってくださいよ、なんて話を振られて困惑したんですが
    実際やってみたら結構壮観かもしれませんね。ぜひ三人展で…(個展をやる度胸はない)

    って、来年は大野ですって!?
    もし参加される&夜お疲れでなければ、ご飯を食べてワイワイやるだけでも参戦させてください。
    あの辺の巨樹は撮ったまま未掲載のもの、あまりに経験が浅い頃に見たきりのため改めてじっくり眺めてみたい
    ものが大量にあるので、こちらはこちらで日中ぶらぶら回ってみたいですし。

    • to-fuさん
      巨樹の写真や資料が一同に会して高磁場地帯が形成されている……みたいな、パネル展だけでもちょっと行ってみたくなります。
      各地域の文化会館ででもブースを借りて次々絶やさず開催したら、それはそれで、気づきがあって面白そうかもしれませんよね。
      しかし、巨樹の写真展となると、確かにちょっと難しさがあるかも。笑
      アート意識で撮ってるかというとそうではない気がしますし、テキストいっぱいでも見る人が困りそうですし。

      大野市と聞いて「岩屋の大杉」がつい浮かんでしまいましたが、あれは勝山市でしたね。セットで巡ったので脳内に境界線がありませんでした。
      逆に言えば、大野市を深掘りする余地は確かにありそうで、今回の階上町の大会がとても良い内容だったこともあり、前向きに参加を検討したいものだなあと。
      ……まあ、直前になって「やっぱり秋のオホーツク海に行くんだ!」とか言い出さないとも限りませんけれども。
      来年はどうなることやら。笑

  • RYO-JI

    「全日本巨樹・巨木林の会」のフォーラム、何だか面白そうですね。
    計測方法に関するアツい議論なんかは正解がない永遠のテーマとなりそう。

    そういや巨樹写真は色々目にしますが、巨樹パネルがズラリと展示されたものはなかなか無いですよね。
    その様子を写真で拝見するだけでも『おおー』と声が漏れるほど興奮しましたよ(笑)。

    • RYO-JIさん
      普段、我々としては「趣味だからまあいいか……」とナアナアにしちゃったりしますが、同じ議題を学識ある方々が真剣な口調で討論しているのを聞くと、「いいぞ、もっとやってくれ!」と拍手を送りたくなります。笑
      階上町の巨樹は樹種がとにかく豊富ですし、こうして列挙しても特に見栄えがすると思いました。
      こうして形にして並べることで、日常興味ない方も、何事かが起きていると気付いてもらえるはず。
      こういうモノが地域にあるのだと案外知られていないものですしね。

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