2023年・青森県東部巨樹探訪1

〇1日目:三陸道で岩手縦断~八戸市入り

 9月末までTシャツだったくせに、10月に入ったとたん秋の顔をし始めたおかしな2023年。
 縁あって、青森県東部の巨樹探訪へと出かけることとなりました。

 地図をひらく。そして閉じる。
 まあ、仙台からは単純に、とにかく北上すればよい。そういうことです。
 岩手に関しては、盛岡へのお花見一関界隈へのサイカチ巡りなど、今年数度訪問して親近感が増しているので、ここは一路、海沿いを辿ってみることにしました。
 ざっくり言えば、(宮城)南三陸→気仙沼→(岩手)大船渡→釜石→久慈→(青森)八戸……か。
 大津波による被害地域を縦貫するわけですが、12年経った今、全区間において迂回の必要はなくなったと聞いています。

 クルマに荷物を放り込み、朝8時に走り出しました。
 東松島市あたりから「三陸縦貫自動車道」に乗る。それだけわかってればいい。
 80~100キロ出せる高速道路なんですが、復興道路の意味合いが強く、ずーーーーっと無料ですっ飛ばせる素晴らしいルートです。

 その前に、いつもの癖でなんとなく進んで、仙台周辺市街の渋滞に巻き込まれ、1時間強浪費しちまいました。
 「宮城県の市街地をどうクリアするか」、これこそ覚えておきましょうよ。
 コレをすっ飛ばすためにちょっとおカネを使うべきだった。くそう。

 乗った。そして、走った。
 あとはこのルート上で寄りたい巨樹や名勝をピックアップしてあればいい。 →もちろんしてあります。

 しかし、なんだ、実際に行くとなると……「東北ば、なめではいけない」ってことでしょうか。
 特に岩手県、このたった1県の縦断に、どうしようもない果てしなさを感じてしまう……。

 岩手県の面積:15280平方キロメートル
 四国の面積:18800平方キロメートル

 どう捉えるかは人それぞれだと思いますが、「ちょっと行ってきます」とか言って一日で走り抜けるモノではないらしい。
 (四国の山間部を走ること考えれば全然ラクですけどね、あの経験は余計距離感を狂わせます。)
 午前中に「うん、やっぱりダメそうだ」、そういうことになって、「せめてここだけは!」に。

 岩手県大船渡市でいったん降り、せめての足掻きで「道の駅さんりく」に寄ってみる(すごいまぶしい)。
 海産物の宝庫。特産のウニ、アワビ、ホタテ、店内にいくつも水槽があり、鮮魚として売ってます! 買っても持ち帰れないでしょうに……

 海産メインの食堂もあって、いかにも良さそうでしたよ。
 風評だなんだとありますが、東北の海の幸のうまさは漁港町生まれの筆者も太鼓判です。ぜひご賞味いただきたい。
 まあ、生モノは得意じゃないんですけどね(不適格人材)。 
 ちなみに、茶色っぽい名物ソフトは柿らしいですよ。

 柿ジュースとかあれば、話題づくりに買うのもよい。
 そう、パック入りのジュースってゴミを減らせるし、旅路で重宝ですよね……って、コレじゃねえよ。

「三陸大王杉」

 その大船渡市では、岩手県最大のスギである「三陸大王杉」を訪ねました。
 いつかこの目で見ようと思っていた巨樹です。
 そのもののディテールについては個別記事をご覧いただくとして、「岩手県太平洋側を代表する一本」と推しておきます。

 さて……旅路はまだ延々長く、ナビによれば八戸入りは日没になりかねない。
 「青森にさっさと入っちゃって、そこから何ヵ所か撮りに行ければいいよネ!」
 とか、きわめて浅はかな夢想をしてたのは、どこのどいつでしょうかね。

 釜石、宮古、山田、久慈……
 この辺りの三陸リアス式海岸の風景は、それゆえに大津波を生みもしましたが、平常時はきわめて風光明媚、車窓からたまに見えただけでも、まるで松島のバリエーション版に思えました。
 白砂青松、断崖の絶景と深い海の青。
 風景写真を撮るためだけでも十分訪ねる価値ありです。

 でも今回は、通過。
 クルーズコントロールでもなんでも使って、休みなく走り続けないとまずい。
 無料ハイウェイは素晴らしいのですが、欠点もあって……というか、けっこうデカい欠点だと思いますが、この何百キロも続く道中、PA・SAのたぐいが一切ありません!
 タダなんだから、どこでも降りればいいじゃん。手ごろな道の駅なら案内するぜ?
 ……そりゃまあそうなんですけど、トイレや休憩、ガソリン、食事事情にもあらかじめ注意が必要です。

 ノーアワビ・ノーホタテ、家から持参したおにぎり片手に走り続けた結果、16時半に八戸市に到達しました。
 まだ……まだ、日はある!
 宿の誘惑を振り切ってもうひとコマ進め、隣町、おいらせ町にイチョウ巨樹を求めます。

「根岸の大イチョウ」

 「根岸の大イチョウ」
 瞬間的に日本一の大イチョウになったこともある(現在は11位)、青森らしい巨大イチョウでした。
 日はすでに陰り始めていて、イチョウの下に入るといっそう暗い。

 ただでさえモンスター的なデカさ、撮影には四苦八苦しましたが、この手ごたえこそがまさに巨樹。
 青森、一本目にしてすでに恐るべし。

 八戸市市街の宿にたどり着いたのは、まぎれもない夜。
 安宿とはいえ部屋に入ってホッとしました。

 恒例の現地スーパー潜入もしましたが、名物は見つけられず、「ちょっと豪華なのり弁」で晩御飯。
 でも、どさくさに紛れて青森米「青天の霹靂」のお菓子を割安にゲットできたのは嬉しい(要するに賞味期限間近のご自宅用)。

 この日の東北太平洋側の暴風については、ニュース(青森のNHK夕方ニュースは「あっぷるワイド」という)でも伝えていましたが、やはり台風レベルだったか。
 「三陸大王杉」、「根岸の大イチョウ」、双方において轟く枝鳴りは恐怖を感じるほどで、細かい枝葉や剥がれた樹皮にバチバチ打ち据えられもしました。落枝には本当に気を付けたい。
 自転車で努力義務なら、巨樹探訪の現場装備に軽便なヘルメットがあっても別におかしくないのかもしれないな……。
 そう考えつつ、フロを求めに行きました。安宿ゆえ、風呂トイレ洗面は共同です。

(つづきます)

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