2018年・北海道東部巨樹探訪旅1

1日目~2日目:出発 大洗港~苫小牧港

 雪降る前の北海道への車旅。
 ガソリンとタイヤの空気を確認、トリップメーターをゼロにして、地元茨城(当時)の大洗港からカーフェリー「さんふらわあ」に乗り込みます。

 気持ちは高まりますが、チケット予約はネットで済んでるし、正直言って待ち時間長い。
 あらかた「もう寝ようかな……」と思い始めた18時過ぎ、ようやく乗船許可。

 下へ~、下へ~と誘導され、我がクルマは最下層の船倉に格納されました。
 さんふらわあ、でかい!
 いったい何台積めるんだ!? という容量です。

 出航、さらば茨城。
 フェリー旅、ワクワクするのは初回だけかもしれず……特に二等航海者はアレでして、有り余る暇をどう混雑を避けて過ごすかの戦術ばかりになります。

 皆さんがレストランに向かうのを見て、ならばと風呂へと向かう。
 海に浮かぶ巨大ボイラーことフェリーのお風呂の良さには毎回助けられています。とても。

 風呂上りにデッキに出ましたが、寒い。煙突のそばがあったかポイントですよ。
 北海道へはだいたい18時間の航海。

 四国や九州へ行ったときとは異なり、今回のフェリーは大型で豪華でした。
 しかし、お高い食堂利用をしないとテーブルを利用できないのは、書き物できず大変不便。
 二等寝床はカーテン雑魚寝式で、これもカプセルの方がよかった……。

 ……で、翌日14時、北海道苫小牧に着岸。
 さあ、走りだせ!

苫小牧~占冠、阿寒

 いよいよ北の大地! ですが、フェリーダイエット(仮称)解除でまずカロリーを補充するべく、苫小牧港近くの「味の大王」でカレーラーメンを食う。
 このカレーの主張……ラーメンスープ感が全然なくてすごい濃いカレー、しかも辛い。ライス。
 これが北の大地の冬の厳しさなのだな! 極寒だからカレーラーメンもこうじゃなきゃダメなんだな! ライス。
 と、まだ秋なんですけど、興奮して(がっついて)食べました。

 食べつつ、行程も検索します。
 実は今回、「巨樹・巨木林の会」のフォーラムに参加する予定で、阿寒湖を目指すのです。
 珍しくもかっちりと目的地のある旅なのです。

 我が白シャツの無事を確認。
 すでに14時過ぎですから、阿寒湖到着はどうしても夜になる。
 途中で何か拾いものをしていきたい気分です。

 しばし突っ走った高速を降り、占冠(しむかっぷ)村というところにやってきました。
 燃えるように色づく理想的北海道! 目が釘付けです!
 これだけでも来た甲斐十分ですが、ここで実に北海道らしい巨樹と出会えます。

「不思議な泣く木」

 これがアイヌの悲話のまつわる「不思議な泣く木」。
 詳細は記事をご覧いただくとして、この折に訪ねられてよかったと思える印象的な巨樹でしたよ。

 しかし寒い。
 冷気に慌てて上着を着こみましたが、高速移動に戻ったとたん、ストンと日が落ちました。
 阿寒で降りると、街路は全くなく、道にはひたすら「シカ注意」と書かれている。

 ときたま、現地の先行車がブレーキを踏む。
 見ると、います。
 いるどころではなく、シカだらけ……20、30頭は道の両側に当たり前にいるんですけど。
 出てくるんじゃねえぞ! と睨みを利かせつつ、気を抜かずに走りました。

 無事、阿寒湖の宿に到着。
 3000円の素泊まり宿と書くとフェリーの二等と変わらんように思われがちですが、ここには源泉かけ流しの温泉がある!
 ただまあ、お食事はセブンとかイレブンとか菓子パンとか……せっかくの北海道なのに貧乏くさい感じでごめんなさい。

3日目:阿寒湖 巨樹フォーラムに参加

 予定! 予定がある!
 と珍しく気持ちを引き締め、朝から阿寒湖温泉へとやってきました。
 ……道間違えたら即森林というのがいかにも北海道で焦りましたが(上記写真ですら単に道路からの眺めです)、到着したらしたで早すぎて誰もいなかった。

 この「イコロ」というアイヌ文化伝承センターみたいな施設で、「巨木を語ろう 全国フォーラム 釧路大会」に出席。
 イコロ、ロだけ小さいロなんですけど、どうやって発音するんだろう。

 いつも巨樹データベースなどを活用させていただきつつも、「巨樹・巨木林の会」にお邪魔するのは初めて。
 それぞれの地域の巨樹愛好家が熱心に活動されていて、とても濃い。

 まりも博士によるまりもと巨木林の関係を語る講義(長いしすごく専門的)、
 アイヌ文化とネイチャーガイドさんのお話、
 環境省や生物多様性センターの方々の活動報告とお話(主に観察結果をDBフォローアップしてください、たのむ!)……
 と、大変充実した内容でございました。

 学術的・専門的なお話は貴重だし、刺激にも参考にもなるなあ。
 余韻に浸りつつ、日暮れに「まりも通り」でエゾシカどんぶりをかき混む。バター風味、うめえ。

 以降の行程を夢想しつつツーリングマップルを見ていると、バイク乗りの青年が声をかけてくれました。
 オフロード好きらしく、林道アタックしててチェーンが切れ、8キロもバイクを押して舗装路に出てきたところを、ここのおかみさんにレスキューされた縁だという。
 修理に必要なパーツがなく、数日阿寒に足止めを食らっていたとのこと。
 旅人同士、話に花が咲きます。こういうのもまた楽しい。

 なんだかいたたまれなくなったのか、おかみさんとおばあさんにトウキビやら遠足っぽいお菓子セットやら、いろいろ恵んでもらう。
 ごちそうさまです。

 ……今、書いてて思い出しますが、彼はあのコロナの時代をどう乗り切ったのでしょう。
 元気だといいな。

 10月半ばにして10℃を切る夜。
 すこぶるいい感じのおばあさんに「ゆー〜ーっくりあったまってってねー」と言ってもらった「まりも湯」。
 男湯脱衣室には映画「バトルシップ」のポスターが貼ってある(どうでもいいワンポイント情報)。
 いい湯。旅人にやさしい街。

 どこで寝るつもり? とバイク青年と話した折、同じく道の駅「あいおい」だというので笑ってしまった。
 ライダーは廃列車を再利用したホテルに泊まれるらしい。

 その列車ホテルの目の前で車中の一夜を明かしました。
 気温は0℃近くまで下がったようですが、装備を厚くしてきた甲斐あって無事乗り切れる。
 これもまたうれしい。

(つづく)

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