2023年・新潟県巨樹旅3

〇3日目(長岡市~帰還)

 長岡市の宿で迎えた朝5時。
 よく眠り、疲れから解放されている。
 同じ回復でも、やはり宿のそれは車中のソレとは雲泥の差よね……車中泊を繰り返してると、HPの上限値が削られていくと思うんだ。
 などと、まだ明けきらぬ外風景を眺めて呟きますが、あらまあ、朝っぱらから本降りの雨です。
 しかし、雨でもテンションが下がらないのは、今日は「絶対に雨に濡れない目的地」がすでに定まっているから。

 ということで、支度して……
 その前に、長岡市の街はずれまで走って「栖吉の大欅」を訪問してきました。

「栖吉の大欅」

 調べたところ、長岡市周辺にはいくつか大きなケヤキ巨樹があるようです。
 その中でも活き活きとしてキチンと大きなケヤキだという点を見込んで訪ねました。
 新潟県の巨樹のレベルが高すぎて、このケヤキすら街の巨樹に見えてしまうのですが、素直に「大欅!」と言える樹でしょう。

 長岡市内にとって返し、上述した「雨に濡れない目的地」までやってきました。
 新潟県立近代美術館。
 そう、アート鑑賞ですよ? 素晴らしくありませんか?(変な日本語)

 巨樹探訪にアート鑑賞を交えるなんてミスマッチ? 実際、初めての試みではありました。
 しかし、この時開催中の展覧をぜひ見たい! と思ったのが、今回の行先を新潟に定めた一要因でもあったのです。

 「橋本龍美展」
 新潟県出身の日本画家で、郷里の伝承や幻想を盛り込んだ作品をたくさん描かれた方です。
 没後初めて、そして類を見ない大回顧展だそうで、すごく楽しみでした。

 ディテールの豊富さ、なんとも言えない奥行き……この「おぢぞうさん」を見れば、魅力を理解頂けるはず。
 ちなみに、作品は一部を除いて撮影可能で、ゆえにこの画像も公式Twitterから拝借した次第。
 これが今時のやり方なのでしょうが、「実物を自分の目で見る」というのと、「写真を持ち帰る/自分のものとする/誰かに配信する」というのと……それをしたいか、すべきか、という点で考え込むような感じはありました。
 深掘りしてみれば、これは巨樹探訪と写真撮影、サイトにアップすることとも通底しているかもしれませんね。

 巨樹探訪旅とアート鑑賞の相性はとても良いと感じました。 
 橋本画伯が故郷・新潟を心に持ち続ける画家であったことも手伝い、これまで見てきた新潟の巨樹たちの姿が、さらに巨大に、色彩と影の濃さを増して記憶に蘇ってくるかのようでした。

 いい時間を過ごせました。
 これからも遠征の合間に美術館や博物館をぜひ挟んで感性を刺激したいものだと思いました。

 美術館から出てきた段階で昼ほど近く(2時間ほど観ていた)、しかし雨は降りやまず……というか、いっそう強くなっている気さえする。

 初めから終わりまで昼メシを食いっぱぐれる旅のよう、もう半ばあきらめ、東へと進路を取りました。
 辛うじて13時、PAの食堂で親子丼セットにありつく。
 何の捻りもないですがウマイ……土砂降りに近い雨を眺めながら食べました。

 ここまでたかだか3日ですが、それなりに詰め込んだ旅の疲労感がないわけではない。
 コロナ禍明け初めての長旅としては収穫もかなりあったし……。
 この先数日雨の予報でもあり、潔く帰路につくことにしました。

 帰路と言っても……実は、出発直前に仕事の連絡があり、このまま関東出張。
 となると、猪苗代から郡山方面へと抜けていった方がいい(ように思えた、この時は)。
 そして、そのルートは、新潟県巨樹探訪の上でどうしても巡らねばならない大巨樹を掠めるものでもある……。

「将軍杉」

 それがまさに、巨樹好きなら必ずや気にしているであろう、樹種中日本最大幹周を誇る「将軍杉」。
 最も幹周が大きいスギは、「縄文杉」でも「杉の大杉」でもないそうです。
 この独特きわまる樹形も相まって、本当にそこまでのものなのか? と、何事かを確かめに行ったような一面も確かにあります。
 結果……まあこれは、個別記事を読んで頂ければ幸いです。

こうして帰りましたとさ。

 新潟県縛りの巨樹探訪旅。
 いくら新潟が広いとは言っても、コロナ前の長旅のようなスケールではなかったかもしれません。
 しかし、ずいぶん久しぶりな「旅」の感覚を味わえた……あるいは思い出したというか、そうした実感が強く味わえたのは確かです。

 新潟県の巨樹たちも、改めて粒ぞろいで凄かった。
 人間界であんな数年が過ぎても、彼らはずっと同じ場所で待っていてくれるんだもんなあ。
 感謝とともに、全国各地で待ってくれている巨樹と、それを巡る次なる旅を思い浮かべました。

 (おわり)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA