旅 2023年・新潟県巨樹旅2 / 0件のコメント 〇2日目(上越市~十日町~長岡市) で、さほどよく眠れず。 上越市の道の駅「よしかわ」の車中泊の夜、不快さはなかったはずなのに。 気が昂っていたのか……いや、この日、新潟県には濃い黄砂が襲来していたらしく、ハウスダストアレルギーが揺さぶられた気配もある。 それに、久しぶりの車中泊が楽しかったかというと実際そこまででもなく、こういう「慣れ」は保持されるのだなと。 結局、なんとか5時間眠り、朝5時から活動再開。 セブンのパンの朝食後、ラジオ体操代わりに付近を散歩すると、偶然「地蔵堂の大けやき」に出会う。 解説によれば、1700年頃に設けられたお地蔵様で、「たいへんな子供好き」なのだそうです。 特筆すべき巨大さはないながらも、城址(「長峰城址」)だという周辺の雰囲気は良く、こういう出会いがあると、 (もしや巨樹に呼ばれているのでは……?) などと、図々しくも思います。 ま、幸先良いのは確かですよね。 「虫川の大杉」 走り出し、昨日のラストから繰り越した「虫川の大杉」を再訪。 道の駅「よしかわ」に停泊したのも、この大杉から20分ほどに位置していたからです。 新潟にはまだ先(糸魚川とか……)があるものの、今回はここで折り返して北上するつもり。 国指定天然記念物だけあって「虫川の大杉」の迫力はやはり他より頭ひとつ抜けている。 改めて見て、こんなもんを標準レンズとコンデジだけで撮ろうとしていた過去の自分の至らなさを痛感。 さりとて、超広角ズームがあってさえ難しいほどの巨樹です。 新潟を代表する一本と必ず書かなくてはいけないでしょう。 ぜひぜひ、お訪ねください。 さて、北上するのは後回しにして、南下します(何なんだ)。 上越の緑濃すぎる山をいくつも越え、津南町へとやってきました。 ここにもぜひ再訪しておきたい巨樹があるのですが、さらに視野を拡大して新規探訪にも踏み込みます! 津南町の苗場寄りと書いたらいいのでしょうか、この辺りは江戸時代すでに「秘境」と指された山中、人の立ち入りを拒む険しい風景が続きます。 その上、豪雪地帯なんだよな……と、そら恐ろしくもなる。 次第に道は細くなるものの、幸いにも離合困難は短距離で済む。 辿り着いたのは、中津川沿いの見倉集落。 ここから少々のトレッキングをこなし、「森の巨人100選」選出のトチ巨樹を探訪します。 「見倉の大栃」群 それぞれ巨樹として語るに十分なトチ、ブナ、ホオノキ、カツラなどが多数生育する豊かな森。 幹周6メートル以上のトチがこれほどズン、ズンと林立しているのに出会ったのは初めての体験です。 ぜひまた再訪したい場所が増えました。 さて。無事森林から津南町の市街まで降りてきました。 ここで、かつての探訪でもひときわ印象深かった……はっきり言ってしまえば、著者お気に入りの巨樹、「外丸矢放神社の八本杉」を再訪しました。 「外丸矢放神社の八本杉」 露骨なまでの合体杉ショック! を見せつけてくれる巨樹で、その立ち姿にはポジティヴな印象が強い。 魅力については個別の記事をご覧いただくとして、豪雪が育むものか、周囲の植物たちが皆勢い旺盛なのも印象に残りました(神社裏手に生えていた名もないホオノキも、かなりの樹高、幹周囲も準巨樹レベルでしょう)。 その後北上するも、天候は崩れる。冷たい風が吹き、軽登山でかいた汗が冷える。 しかも時刻は昼を回り、朝の菓子パンは完全に情報処理されて影も形もない。 こんな状況で次なる巨樹を目指すのは恐縮ではありつつも、食料品店に遭遇するより先に目的地に到着してしまったのです。 「薬照寺」の万博パビリオン並みの個性を確認するより先に、視界いっぱいの大カツラに圧倒されました。 これほど壮健な大カツラには、全国を視野に入れたとしてもそうそう出会えるものではない。 新潟の巨樹界の懐の深さには驚くばかりです。 「薬照寺の大カツラ」 巨樹には大満足。 しかし……活動量が多いのに食った物量が少なく、この空虚感は巨樹撮影では埋めることができない。 車にはMDF合板みたいな非常固形食料がいくつかあったはず……だがしかし、目の前これだけ田んぼ大平原なのに、コメを食わないでは引っ込みがつかない。 このキモチ、どうすれば? またしかし、こういう時に限って飲食店は現れず、暗澹たる14時半。 よろよろとローソンにありつき、ほとんど見もせずにレジ前の弁当を購入、チン後に初めて揚げたトリとコメの弁当であることに気付く、とともに全部食い終わっていたりする。 割り箸を折りつつシートに沈み、 「うえわっ?!」 とか、記憶を取り戻した時には、もう15時半であったという……。 アインシュタイン先生の言葉を借りるまでもなく、一日の進行速度が早まっている。明らかに……。 当座のエネルギー充填は済み、残りの日照を有効活用するため、ひた走る。 行く先は一路、十日町市。 ここに、今回の新潟県巨樹行でぜひとも再訪を果たしたかった巨樹……その残す一角がそびえ立っているのです。 その名、「赤谷十二社の大ケヤキ」。 引き締まった幹姿と数値以上の巨大さで巨樹好きを狂喜させること間違いない一樹です。 「赤谷十二社の大ケヤキ」 「虫川の大杉」、「外丸矢放神社の八本杉」、「赤谷十二社の大ケヤキ」。 今回の巨樹旅の大きな目的だった「再訪組」を無事コンプリートでき、小さくガッツポーズしました。 再訪してなお弩級の迫力を感じるこの三本を並べて、新潟県のキング・オブ・モンスターズとでも賞したい。 ビオランテとキングギドラとゴジラの競演ですよ、こりゃあもう!(鼻息) エモーションを写真に封じ込めようと挑みかかるうち、また突風のような一時間が流れ去り、バラバラと大きな雨粒がぶつかってくるようになりました。 再訪に来て、再訪をまた誓う。 新潟とは、そんな土地だと言えそうです。 ……その後、二時間弱ぐいぐい走って長岡市に到達。18時。 なんと今日は、ちゃんと宿をとっているという素敵さです。 古い、安い、しかし掃除は行き届いていて落ち着く宿。 こういうトコが一番いいのですよ、まるで我が家に帰り着いたかのようだ。 ああー、今日も疲れたあ。 旅先でスーパーに入って地元物産を物色するのが秘かな楽しみです。 岩手盛岡で「石割桜」を訪ねた折には、名物「福田のコッペパン」と「ばほり」を入手できたのですが……新潟のベイシアは旅人には冷たかった。 おまけにアルビレックスは負けててお通夜ムードだし、なんかちょっと新潟のNHKは暗かったですよ。 「てれまさむね(仙台のNHKのニュース番組)」が恋しいなあ。(※ベガルタのが強いという意味ではありません。ていうかむしろ弱いし……) こんな風に走ったようです。 などと旅のワラジを脱ぎ散らかしつつ、探訪したての巨樹たちの写真を見返し、感動を書き留めておきたい。 この夜の過ごし方もまた、まぎれもない巨樹探訪旅の醍醐味なのです…… ………… が、気付いた時には、次の朝が来ていました。(つづく) <<< 2023年・新潟県巨樹旅1 2023年・新潟県巨樹旅3 >>> 関連