巨樹たち

富山県魚津市「洞杉及び岩上植物群落」

伝説の杉群落をもとめて

波乱含み、けわしき道のり

 5月初週。
 夜の間に500キロ走り、富山県魚津市に降り立った目的は、この筋では伝説的な天然スギ巨樹群落を訪ねることでした。
 その名、「洞杉(どうすぎ)群。

 山の人の間では存在が知られていたものの、公式な調査が行われたのは最近であり、その神秘的な生態と驚くべき姿で注目されている、とのこと。
 ネットで検索すれば写真や情報は手に入るものの(このサイトもそのひとつ)、実物の前に立った時の衝撃と比べれば、伝わるのは良くて18%くらいのものでしょう。

 道順自体はシンプル。
 魚津市を流れる片貝川をどんどん遡り、片貝第三発電所の先まで進み、脇道に入る……

 が、この時は、落石か何かのために通行止め。
 迷いましたが、釣り人さんたちが停めている広場から歩くことに。

 三脚(当時まだカーボンに切り替える前で、ゴツいやつでした)は置いていくことにしました。
 こんなチャンスに勿体ないとカメラマン諸兄はおっしゃるでしょうが、この時は結果として良い判断だったとしか言えません。

 この周囲は山菜採りや渓流釣りの人たちがいてにぎやかですが、クマ鈴携行を忘れずに。
 釣りのおやじさんは2セットつけていましたよ。

 「南又谷駐車場」。
 本来ならここまでクルマで来れるはずでしたが、そういうわけで、水晶のように透き通った片貝川を横目に1キロほどか、歩いてやってきました。
 自然保護のため、ここから洞杉群までおよそ2.5キロの徒歩行になる。
 実はこの手前……こんなことがありました。

 戻ってくる人影が見える。胸元に一眼カメラ。相手もこちらの装備を認め、自動的に会話が始まる。

 その人:「(早送り)ちょっと興味があって杉を撮りに来たのだがいくら行っても手がかりがないので不安になって引き返して来たんです、全く、どこまで行っても何も無いんですよ。これじゃキリがない。私は戻りますよ」
 自分 :「……」
 その人:「行くんですか? 何も無いですよ」
 自分 :「ありがとうございます、せっかくなんで、僕はもうちょっとだけ進んでみます」

 愛想よく手を振って別れたけど、じゃあ僕も一緒に戻ります……なんて言わないぞ。
 自分の目で見て判断したものしか信じないぜ、という気持ちがますます強くなりました。

 往復5キロのつもりが、結局7キロくらいは歩かねばならないらしい。
 準備体操の真似事だけして気分をリセットして歩き始めました。

 数十分行き、川沿いの開けた場所に。
 「蛇石(大蛇が巻きついたような姿の石)がある場所です。
 車が停まっていましたが、管理関係の方のもののように見受けます。

 それより、傍に立つスギが、これまで歩いて来た林道のものとは明らかに違った雰囲気を放っているのが目を惹きます。
 周囲4メートル以上はありそうな幹の、この曲線的なフォルム。
 ここから先、スギはこのような姿に変貌するという目印役を担って立っているかのようです。
 登坂が続いたせいで早くも汗まみれでしたが、気分は高まりました。

 ……ところが、すぐに面食らう。
 除雪されていないとは!
 ご覧の皆さんには申し訳ないのですが……今回の探訪ログは参考にすべきではないと思われます。
 ここに書いてあったからと言って、同じことをされて事故に遭われても責任がとれません。

 自分は、自己責任のうえ、行けるところまで行こうと決めました。
 もし本当に無理だと感じたら、洞杉まで辿りつけなくても引き返す。自分との約束。

 手ごろな枝材を拾得し、蹴りを入れて折り、杖とする。
 雪は締まっていますが、時折ズボッと膝まではまり、杖で安全を確かめる必要がある。
 いたるところに雪解けの洗い越し、雪崩と落石の跡が続き滑落か埋没したら遭難かもしれない。
 ここへ来るには、GWではまだ早かった。そうとしか言えません。

 時折現れるスギの姿もどんどん異様になっていきます。
 我々がよく知る姿では到底生きてはいけないのだなと、強烈な印象を残します。
 折れ、倒壊し、運が悪いものや弱ったものからすぐさま消える世界。

 少し横を見れば、絶えず清流・片貝川の流れが目に入ります。
 青い水は美しいが、落ちたら命はなさそうだ。
 片貝川は日本アルプスに端を発し、そのまま富山湾に下る川で、その高低差は2000メートルもあるのに、距離はたった20数キロという、つまり日本屈指の急流なんだそうです。

 通常なら地図通りの道を歩いているはずが、雪の照り返しに目も眩み、汗まみれで上着を脱ぎ、杖に両手でつかまらないと進めない。
 駐車場にも至らず戻ったカメラマン(明らかに都会の人)よ、あんたは正しかったかもしれないぞ……。

 と、そんな中、突如として名もなき野生の巨樹が姿を現しました。

「崖の上の洞杉」

 便宜上、そうとでも呼びましょうか。
 洞杉の群が一番集中している地点よりも手前、高い崖上で、まるで斥候のように待ち受けているスギです。
 洞穴のように幹に空間を抱え込むことからその名があるとすれば、身の詰まったこの巨樹は、厳密には「洞杉」と呼ぶべきではないのかも。

 高さ10メートルほどの切り立った崖の上から、角度をつけて身を乗り出しています。
 合体樹ではないようですが、大蛇が絡まったような様相で、どれが幹でどこからが枝なのか、はっきりしません。
 同じく野生の裏杉である京都府「伏条台杉群生地と平安杉」を思い出します。

 崖は鋭角に割れ落ちる岩石でできており、スギが成長する間にも雪の重みや水の状態変化によって崩壊し続けている。
 しかし根がそれを掴んで離さず、はるか崖下にまでうねって伸びています。
 柔軟さこそ強さと語るかのように。

 危険すぎて近寄れませんが、おそらく目通り幹周は6〜7メートルある。 
 一方で樹高は高くなく、何度でも書きたくなりますが、太平洋側の表杉ととても同じ種だとは思えません。
 道路を見下ろしているので、復路にも必ず再会する樹なのですね、これは。

「船形の洞杉」

 しばらく行くと、これぞ目標としていた洞杉が現れました!

 先に書いておくと、この名称はカリスマ的巨樹サイト「人里の巨木たち」で命名されたもの。
 現地案内図などでの名称は「観察しやすい洞杉」などとあり、この巨樹の迫力と特異性に全く触れていません。
 遊びを持ち込まない、真面目なお役所仕事みたいにつけられたのかもしれませんが、あまりにも無粋じゃないでしょうか……。
 比べて、「船形の洞杉」という名は特徴をよく捉えているし、こちらを活用させて頂きたい。

 「杉」と一文字で書くにはあまりにも異様な姿、そしてただならぬ巨大さと迫力。
 何がこの身に起きたのか、どんなものすごい力が作用して、このような姿に変貌したのか?
 考えれば考えるほど想像を絶している……超常的な疑問に頭が支配されてしまいます。

 洞杉の誕生には、根元に見られる大きな石が一因を担っているとされています。
 この石はどこから来たのか?
 前述の……この時もすぐそばを大きな音を立てて流れている急流、片貝川が運んだものです。

 雪解けの豊富な水気があり、石の上をまず苔が覆い、それを土壌がわりにスギが根を張る。
 生育していくうち土を求め、石を避けるように長く根を伸ばし、抱え込むような奇怪な姿に変わっていく。
 洞杉などの天然杉は、種子よりも、土壌(または同類の屍骸=倒木)に触れた枝などから直接発根する「更新」で広がっていくそうです。

 幹や枝にも、平野では考えられない強烈な力が働いていることが一目瞭然ですね。
 手段を択ばない生存戦略、そうでなければ生きていけない過酷な環境。
 それをカタチにしたのがこの姿というわけか。

 主幹はとうに失われ、籠のように幹(枝?)が群れをなして立ち上がっている。
 「洞」の字の由縁です。

 積雪の重みで折れ、分岐し、雪の重みで曲がって伸び、折れ、また降って……こういうことになった。
 実際、近年折れたばかりの傷ものの枝があり、一方で、新たに育った枝も見えます。
 なんという逞しさ!
 というか、ここまで過酷な目に遭わされて、なぜ枯れないのだ、あんたは。

 この規模の洞杉はみな数百年〜千年程度生きているとのこと。
 ものすごい形相の根・幹・枝のディテールを持ちつつ、全体を見ると、不思議な形にまとまっている。
 「おそるべき」と書きたくなる大巨樹。拝めて良かった!

「広場の洞杉」

 強烈なインパクトを放つ「舟形の洞杉」から少し行った広場にも、洞杉たちがそびえています。
 こちらは壁状に、横に横にと成長している。

 失った主幹を取り囲むように拡大していく姿から、神様が降臨する「祠(ほこら)」と見立てられ、「洞(ほら)」と転化、「洞杉(どうすぎ)」という名ができたのではないか、との一説も、ものの本にある。
 確かに、この形状を何かの意思が決めているとしたら……それは山の神しかない。

 崖上の巨岩を鷲掴みにしているこの個体も。
 「最大の洞杉」に特徴が似ていますが、雪崩のせいで近寄れず、確認不能でした……。
 行動範囲を広げられず無念ではありますが、仕方ないです。

 しかし、この洞杉もすごい形相。
 岩をがっしりと掴みながらも、重量の移動に引き裂かれつつある。
 垂直に伸ばされた新しい幹に、やはり強烈な野生を感じます。

 最大洞杉は、発見当初、幹回り30メートル! と地元新聞に報じられ、巨樹世間を騒然とさせたそうです。
 が、複雑な形状のためか改めて計測され、それでも幹周15メートルを超える巨大スギだと判明した。

 幹周囲ランキングを眺めて一口に巨大スギと言っても、高知県「杉の大スギ」などとはあまりにも様相が異なる。
 一方で、同じく豪雪地帯の新潟県「将軍杉」や、福井県「岩屋の大杉」には類似性を感じますが、それでもやはり岩石を抱えてへばりつく洞杉は独特としか言いようがありません。

 こんな険しい場所に1000年生きる。
 片や自分はたかだか数十年を平らな土地で生きよう足掻く。
 「足元にも及ばない」とはまさにこのことです。

「川沿いの洞杉」

 おそらくは解説で「道路沿いに現れる洞杉」と、これも味のないガムみたいな名前を付けられてしまった洞杉がこれかと。
 (で、自分でかっこいい名前を考えてはみたんですが……引っ込めました)

 洞杉群落から再び危なっかしい雪道を2キロ戻り、橋のそばに未確認の巨大な洞杉があるのに気づきました。
 こんなデカい樹に全然気づかなかったとは、自分の目はどこについてんだ。

 川へと落ち込む崖に生えており、自身もかなり角度をつけて成長している。
 満足に歩ける足場すら足らず、どうしても同じ姿でしか撮れません。
 大きな石を抱え込む根幹は、幹周8メートル以上は固そうです。
 演出のためにカメラを傾けたりはしていないはずですが……斜面にへばりつく巨体にすさまじい力みを感じます。

 急角度の主幹から枝の数々がみな垂直に立ち上がり、あくまで天を目指して伸びる。
 掟か戒律を遵守する者の姿にすら見えてきます。

 彼ら洞杉に総じて当てはまるのは、並々ならない生の勢い。
 かなりの樹齢のはずなのに、どれもまだまだ巨大に育ちそうに見えました。
 こうでなくては生きていけない、弱さを見せる奴なぞとっくの昔に消えて失せたのだろう……。
 老樹を見るつもりで行くとしたら、それは全くの勘違いだと指摘できます。

 ……という感じで、ズボンをびしょびしょにしながら雪崩道を越え、入口まで戻ってきました。
 拾った杖が大活躍……もといコレがないと歩けない。  
 うーん、個人的に本年度ベスト杖大賞だな。
 握りやすいし、強く軽く、明らかにスギ材、洞杉の魂が宿ってるんだと思ったら、手放せなくなってしまいました。

 行きに自分がつけた足跡があるので、ルート選択には困りませんでしたが……
 昼近くの日照で、じゃーじゃー音を立てて雪が融けており、山をなめるべきではないな、と。
 思い返して背筋が寒くなるということもあります。

 片貝川も忘れられません。
 洞杉群を生んだのはこのものすごく冷たい透明激流。
 すべてはこの流れから始まった……。

 道路に降りて来て心底ホッとしました。
 カラフルな登山ルックの若い女性が、汚い靴とズボン、カメラ、Tシャツ、杉の杖というこちらの姿を見て、

 女の人:「奥の方、行かれたんですか……?」
 自分:「ええ。ちょっぴり死にそうになったりもしましたがね奥さん」
 女の人:「じゃあ、やめときます♪」

 それがいい。大人の判断に拍手を。

 ウラスギみたいにぐにゃぐにゃになったサンドイッチを食べ(『コンビニの棚にあるサンドと、このリュックの底から発見されたサンド、どちらも同種のサンドイッチだという事実に驚きます』←今回のキーワード)、いつのまにか眠りに落ちる。
 片貝川の流れと鳥の声をきく。

「洞杉及び岩上植物群落」
 富山県魚津市三ヶ
 推定樹齢:1000年
 樹種:スギ
 樹高:10~25メートル(目測)
 幹周:~15メートル

 市指定天然記念物
 訪問:2017.5

探訪メモ:
 長い探訪クエスト、お読みいただきありがとうございました。

 遅い春と、険しい道のりにご用心。探訪はその時々の最新情報のリサーチから始めてください。
 数キロ歩ける靴と脚力、クマ鈴、ストック、虫よけなどとともに、無理をしない心の装備を。
 モノクロ写真、雪に埋もれて崩れた柵に気づきませんでしたが(本当です)、本来はここまで近寄れません。ご容赦を。

 洞杉のあまりの非現実感に打ちのめされ、へろへろと魚津市街まで戻ってきました。
 久しぶりに文明に触れたような気分で一軒めのローソンに入り、店先でペットボトルを一気で全部飲む。
 すごく爽快だけど、とても野蛮な人間になったように感じました。

 なんか、うすら長い杉の杖とか車に積んでるし。

 そんな感覚の時にこそ、「魚津埋没林博物館」がおすすめ。

 魚津港を開発する時、当然地面や海底を掘りますわな、すると、どでかいスギの根ッコが山ほど出てくるではありませんか。
 古代の巨樹林が、埋もれたままそこに遺っていたのです。
 保存状態の良さは研究対象としてまことに貴重、そのままの姿で保存するために、真上に埋没林博物館を作ったのだそう。
 見ものは何と言っても、この水中保存されている巨樹の根っこです。

 これはマジですごいです。
 2000年前にこの巨樹林を埋没させたのも、またもやあの透明激流・片貝川の氾濫らしい。しばし唖然。

 お子さんには退屈かもしれませんが、巨樹好きにはたまらない。
 蜃気楼の展示もあり、これもまたロマン。愉しい!

9件のコメント

  • yoji.koyama

    はじめまして。
    巨木好きで富山好きの小山と言います。

    好きな二つが重なったので初メッセを残すことにしました。

    富山には年に何回か入っておりますが、
    何度も雪で失敗しているので雪解けの6月初旬からにしています。

    富山はベスト期間が短く、雨も多いので悩ましいですが、休日直前は富山の天気を見て狙っています。
    そして夏は一気に藪が生い茂り、デカイ蜂とアブが増えます。強烈な自然ですね。

    雪の洞杉群の様子が見れてとても参考になりました。
    また雪も風情があっていいですが、危なく避けているのでありがたいです。

    この時期の川は雪解け水なので落ちたら本気で危ないですね。
    細蔵山に行くとき川を渡ろうとして1時間格闘。
    やけくそで川に入り2分で断念。30分回復しませんでした。

    また富山へ行くときは多少情報持っているのでいつでも聞いてください。

    以前から拝見しておりますが、写真だけでなく文才もありますね。
    長くてもスラスラ読めてしまうことが本当にすごいです。
    日本で巨木好きは極わずか、こちらのサイトを発見した時とても嬉しくなりました。
    今後ともよろしくお願いします。

    そういえばこないだ志々島で顔も知らなかったコマさんとバッタリお会いしました。
    ではまた。

    • 小山さん>
      はじめまして! コメントありがとうございます。
      同好の方にコメントしていただけること、大変嬉しく、励みにもなります。

      自己紹介ついでに、狛(コマ)は私です。志々島でお会いしたとなると、バイロケーション怪談になってしまう!笑
      写真・巨樹仲間のto-fuさんから、志々島のクスのすばらしさとともに小山さんにお会いできたニュースもお聞きしました。
      もちろんGooglemapでの下調べの際に小山さんのコメントや写真はちょくちょく見させて頂いているので、自分としても驚きつつ興奮しました。
      巨樹は文化性や自然科学の面でもいくらでも語ることがありますし、被写体としても壮大、もっと愛好家が増えて当然なくらいだと思います。
      それだけ、固定観念を裏切るほど広く深い国土が日本にあるという証拠でもありますね。
      小山さんの活動量、冒険にはスゲエ……としか言葉が出ません。

      しかし、この洞杉探訪は自分としては無鉄砲だったな……と少し反省しています。無知ゆえの断行だったとも言えますし、もうしません。苦笑
      石徹白もそうですが、毎年災害が起きてるんじゃないか? と疑うくらいの過酷な自然環境、そこに数百年立ち続ける巨樹とともに身を置く経験は、心に深く刻みつけられます。
      到底言語化できる感覚ではないし、こうなると幹周や樹齢なんかはどうでもいいインデックス数字でしかなくなる。

      そう、滑落とクマと同等に、この青い片貝川がとても怖かった。
      実はこの後、浅い河原でじゃぶじゃぶ遊んでみたんですが、同様にしばらく歩けなくなりました。笑
      美しい自然こそ畏怖の対象になっていたのはこういうワケなのだ……と、ストンと腑に落ちます。
      ともあれ、だからこそ強烈な魅力を放ってもいて、富山はじめ北陸方面、また足を向けたくてたまりません。
      小山さんの情報がとても頼りになるのと同時に、私が作成したモノも後続の方に少しでも役立つといいなと願ってます。

  • to-fu

    今朝一度記事を開きましたが、これは酒でも飲みながらじっくり読まなあかんヤツや…そっとページを閉じました 笑
    つまり今まさにお酒とハマチの刺身をつまみながら改めてじっくり拝読したわけですが、本当に自分が
    訪問したものと同じ場所とは思えませんね。自分なら突入したか…やっぱり行くだろうなあ。

    小山さん情報だとこの奥にも凄いのがいるらしいんですよ。(小山さん、志々島以来お久しぶりです。)
    いつか再訪してもう少し奥まで攻めてみようと思ってるんですが、やはり熊リスクだけが不安です。
    あそこガチで熊の気配がしましたからね…必死に鐘をガンガン叩いたこと、怖くてパンも出せなかったことが
    強烈に記憶に残っています。サミット地としての提案も考えましたが、怪我人でも出したら洒落にならんなと。
    まあ複数人なら心強くもありますので、もし行かれる際はぜひお声がけください 笑

    なんというか、前回は驚きと感動で写真を撮ることにイッパイイッパイのまま終わってしまったので、
    もう一度しっかり撮りに行きたいとは思ってるんですよね。たぶん何回撮っても満足できる写真なんか
    撮れないんじゃないか…そんな予感しか感じさせないくらい壮大な巨樹群だと思います。

    • to-fuさん>
      再読ありがとうございます。笑
      洞杉たち、どの一本も巨大さと個性の面で驚くべきもので、並列的に写真を陳列したい気に駆られます。
      しかし、この探訪クエストのすったもんだを思い出すと、長くなるのを承知で時系列と環境を踏まえた一本ものにせざるを得ませんでした。
      いわば悪いお手本なのですが……行って良かったと……ええ、そうとしか言えません。無事だった以上は。

      「岩抱きの洞杉(最大洞杉)」、自分も小山さんのサイトで見て釘付けになってました(立山杉も。富山はアブなすぎる……苦笑)。
      まだ一番すごいのを見てないんだぞと強烈に後ろ髪を引かれつつ、雪が凄すぎて探せもしませんでしたっけ。
      まあ、「船形の洞杉」だって十分スゴかったのもあるんですが、先の道の無さを見たら「ああ、もういいかあ……」的無力感が。
      夏はクマ、いるでしょうねえ……。
      ですが、行くんならパーティー組む以上のことはない。こちらこそぜひお願いします。
      1人より2人より3人だ、自己責任をカタマリにするしかないぜ! と。笑

      野生の巨杉の前に立つ。
      雄大な大クスたちが与えてくれる感動などとは全く異なる強烈な刺激ですが、これもまた一生の思い出になる旅、撮影、経験には違いないです。
      またぜひチャレンジしたい。ちまちま経験値を積んでいきたいものです。

    • yoji.koyama

      to-fuさんお久しぶりです。
      名前を間違い失礼しました。
      お恥ずかしい限りです。

      to-fuさんも行かれてたんですね。
      あの山は確実に熊がいますよね。目撃情報もありますが、気配が凄い。
      少し深く入りましたが、退散した唯一の山かもしれません。

      岩抱洞杉を下から見上げた時の感動は、相当でした。
      またじっくり行きたいもんですね。

  • RYO-JI

    壮大なノンフィクションアドベンチャー小説を読ませていただいた気分です。
    読む方も気合いが入りましたが、書き手の狛さんはもっと熱量を消費したでしょうね。
    まさに大作ですよ、コレ。
    そして読み終えた後の興奮も凄い!

    洞杉群の異様さは当然としても、自然そのものの偉大さがしみじみ伝わってきました。
    また環境の厳しさをしっかり明記されているのがいいですね。
    こういう記事はついつい良いことだけに注力しがちですけど。

    狛さんと同じような状況だったら、今の私なら途中で引き返してしまいそう。
    いや、不安になってきっと引き返してますね(笑)。

    • RYO-JIさん>
      同じく、再読ありがとうございます!
      書いておきたいことが色々あって長尺になりましたが、やってて楽しく、全く苦労しませんでした。笑
      洞杉だけでも十分探訪と呼べるし、このためだけに魚津まで行く価値がある! と断言できます。
      無事クルマまで戻ってきた時のあの達成感、もう一度味わいたいなあ……。

      でもそうですね、記事にも書くことになった社会的良識のある方々に対し、「行かないなんて勿体ない」などとは言えません。
      彼らは彼らでスマートかつ適切な判断を下しており、むしろこちらが見習わねばならないとも感じます。
      冒険しなかった後悔、事故ってしまった後悔……どちらにせよ「後悔」ってやつは魔物です。
      分別を持ちつつ、万全の体制で進みたいものですよね。

  • yoji.koyama

    狛さん失礼しました。
    送信した瞬間にもしかして名前違ったか?と焦りましたが、やはり間違えていました。
    ユーモアで返していただきありがとうございます。

    to-fuさんから聞かれていたのですね。船で少し話させてもらいましたが、
    巨木はもう少し認められてもいい趣味ですよね。
    あんまり人は増えてほしくはないのですが笑、見る人や興味を持つ人は増えてほしいですね。

    Googlemapで知っていただいたと知り驚きました。少しは役に立てているようで嬉しい限りです。
    巨木の歴は27歳から18年目だと記憶していますが、2018年頃からどんどん行く回数が増えてきています。
    倒木の本数が増えると共に、急がないとという気持ちが増しました。

    屋久島のバリエーションルートで巨木を探す旅をきっかけに「発見」「冒険」への旅も増えました。
    そしてこの記事の富山 洞杉群・馬場島が拍車をかけています。

    >しかし、この洞杉探訪は自分としては無鉄砲だったな……と少し反省しています。
    無知ゆえの断行だったとも言えますし、もうしません。苦笑

    私もこの山の裏側で無鉄砲に攻め、滑落し死にかけて「もういいわ」と山を後にした翌年、装備を増やしまた行ってしまってるので困ったもんです。それくらい富山の巨木には魅力があるのだと思います。

    コマさんが言われるように、過酷な自然環境で堂々と立ち続ける姿は毎度胸を打ちます。
    折れても不死鳥のように復活し、曲がり割け穴が空きそれでも光を求め天を目指す野性の巨木は到底言語化できないですね。

    伝承2,000年とかよくありますが、弥生時代からきちんと伝わってきたのかと疑問が浮かびますし、
    あと素人が計測して報告している環境省データももう少し精度が上がらないとあまり意味をなさないですね。
    まぁ測ってもない自分が言うのもおかしな話ですが笑

    こうして巨木の発信をされていること自体が多くの人の役に立っていると思います。
    そして記録としても貴重なものになっていくと考えています。
    また覗かせていただきます。

    最後に、みなさんに「細蔵山 幻の大杉」は是非見てほしいと願っています。

    • yoji.koyamaさん>
      自分もブロガーさんの名前を間違えたことはありますし、お気になさらずに。笑
      しかし、遠方に出かけた同士が一か所の巨樹の下で偶然出会うなんて。あの志々島、船……濃いロマンが感じられます。

      コロナ謹慎中、自分はともかく周囲にいたわるべき人が多かったので、とにかく巨樹のことは見ぬふりしていましたが、その前に洞杉探訪を勢いで敢行しておいて本当に良かったです。
      写真や動画でならすぐに/いくらでも見られる時代になりましたが、多くの人が実際に足を運ぶ、世間的ブームとなるには、あと一つ決定的な何かが必要と見えます。
      このご時世、きっとその「何か」は、巨樹そのものとは関係ない要素なんだろうなあ……と想像してしまうので、まあまず、自分が楽しむのが最善だよね、と。
      それがやる気の源だし、巨樹を埋もれさせない話のタネ播きに繋がっているはず。と。
      その点、小山さんのサイトにおける富山巨樹探検、屋久島と双璧をなす大冒険で、まったく、幻の大杉たちの威容に唖然としつつ、こちらまで無闇な衝動が湧いてきます。
      おっといかん、知識も経験も装備もないだろ……と自分を落ち着かせていますが、旅の規模をまた徐々に拡大していって、最大洞杉はぜひ改めて拝もうと野望を抱きました。

      巨樹探訪から学ぶこと、そこから考察してみるべきこと、実にたくさんありますね。
      洞杉はじめ富山の厳しい環境のスギには、特殊な生態をもって日本国土の際立った環境・地質を教えられました。
      各地の巨樹にしても、歴史や伝承について点と点を繋げてくれる印象で、変な歴史書より有用だとすら感じます。
      小山さんが18年続けてまだなお掘り下げる余地がある……日本は本当に広く深いんだなあと唸ります。
      こちらも旅の参考に、勢い付けに、小山さんの冒険の書更新を楽しみにしております。
      (とともに、我々ほぼ同い年なんですね。これからも年甲斐もなく旅を楽しんでいきましょう。笑)

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