戻ってくる人影が見える。胸元に一眼カメラ。相手もこちらの装備を認め、自動的に会話が始まる。
その人:「(早送り)ちょっと興味があって杉を撮りに来たのだがいくら行っても手がかりがないので不安になって引き返して来たんです、全く、どこまで行っても何も無いんですよ。これじゃキリがない。私は戻りますよ」
自分 :「……」
その人:「行くんですか? 何も無いですよ」
自分 :「ありがとうございます、せっかくなんで、僕はもうちょっとだけ進んでみます」
愛想よく手を振って別れたけど、じゃあ僕も一緒に戻ります……なんて言わないぞ。
自分の目で見て判断したものしか信じないぜ、という気持ちがますます強くなりました。
往復5キロのつもりが、結局7キロくらいは歩かねばならないらしい。
準備体操の真似事だけして気分をリセットして歩き始めました。
9件のコメント
yoji.koyama
はじめまして。
巨木好きで富山好きの小山と言います。
好きな二つが重なったので初メッセを残すことにしました。
富山には年に何回か入っておりますが、
何度も雪で失敗しているので雪解けの6月初旬からにしています。
富山はベスト期間が短く、雨も多いので悩ましいですが、休日直前は富山の天気を見て狙っています。
そして夏は一気に藪が生い茂り、デカイ蜂とアブが増えます。強烈な自然ですね。
雪の洞杉群の様子が見れてとても参考になりました。
また雪も風情があっていいですが、危なく避けているのでありがたいです。
この時期の川は雪解け水なので落ちたら本気で危ないですね。
細蔵山に行くとき川を渡ろうとして1時間格闘。
やけくそで川に入り2分で断念。30分回復しませんでした。
また富山へ行くときは多少情報持っているのでいつでも聞いてください。
以前から拝見しておりますが、写真だけでなく文才もありますね。
長くてもスラスラ読めてしまうことが本当にすごいです。
日本で巨木好きは極わずか、こちらのサイトを発見した時とても嬉しくなりました。
今後ともよろしくお願いします。
そういえばこないだ志々島で顔も知らなかったコマさんとバッタリお会いしました。
ではまた。
狛
小山さん>
はじめまして! コメントありがとうございます。
同好の方にコメントしていただけること、大変嬉しく、励みにもなります。
自己紹介ついでに、狛(コマ)は私です。志々島でお会いしたとなると、バイロケーション怪談になってしまう!笑
写真・巨樹仲間のto-fuさんから、志々島のクスのすばらしさとともに小山さんにお会いできたニュースもお聞きしました。
もちろんGooglemapでの下調べの際に小山さんのコメントや写真はちょくちょく見させて頂いているので、自分としても驚きつつ興奮しました。
巨樹は文化性や自然科学の面でもいくらでも語ることがありますし、被写体としても壮大、もっと愛好家が増えて当然なくらいだと思います。
それだけ、固定観念を裏切るほど広く深い国土が日本にあるという証拠でもありますね。
小山さんの活動量、冒険にはスゲエ……としか言葉が出ません。
しかし、この洞杉探訪は自分としては無鉄砲だったな……と少し反省しています。無知ゆえの断行だったとも言えますし、もうしません。苦笑
石徹白もそうですが、毎年災害が起きてるんじゃないか? と疑うくらいの過酷な自然環境、そこに数百年立ち続ける巨樹とともに身を置く経験は、心に深く刻みつけられます。
到底言語化できる感覚ではないし、こうなると幹周や樹齢なんかはどうでもいいインデックス数字でしかなくなる。
そう、滑落とクマと同等に、この青い片貝川がとても怖かった。
実はこの後、浅い河原でじゃぶじゃぶ遊んでみたんですが、同様にしばらく歩けなくなりました。笑
美しい自然こそ畏怖の対象になっていたのはこういうワケなのだ……と、ストンと腑に落ちます。
ともあれ、だからこそ強烈な魅力を放ってもいて、富山はじめ北陸方面、また足を向けたくてたまりません。
小山さんの情報がとても頼りになるのと同時に、私が作成したモノも後続の方に少しでも役立つといいなと願ってます。
to-fu
今朝一度記事を開きましたが、これは酒でも飲みながらじっくり読まなあかんヤツや…そっとページを閉じました 笑
つまり今まさにお酒とハマチの刺身をつまみながら改めてじっくり拝読したわけですが、本当に自分が
訪問したものと同じ場所とは思えませんね。自分なら突入したか…やっぱり行くだろうなあ。
小山さん情報だとこの奥にも凄いのがいるらしいんですよ。(小山さん、志々島以来お久しぶりです。)
いつか再訪してもう少し奥まで攻めてみようと思ってるんですが、やはり熊リスクだけが不安です。
あそこガチで熊の気配がしましたからね…必死に鐘をガンガン叩いたこと、怖くてパンも出せなかったことが
強烈に記憶に残っています。サミット地としての提案も考えましたが、怪我人でも出したら洒落にならんなと。
まあ複数人なら心強くもありますので、もし行かれる際はぜひお声がけください 笑
なんというか、前回は驚きと感動で写真を撮ることにイッパイイッパイのまま終わってしまったので、
もう一度しっかり撮りに行きたいとは思ってるんですよね。たぶん何回撮っても満足できる写真なんか
撮れないんじゃないか…そんな予感しか感じさせないくらい壮大な巨樹群だと思います。
狛
to-fuさん>
再読ありがとうございます。笑
洞杉たち、どの一本も巨大さと個性の面で驚くべきもので、並列的に写真を陳列したい気に駆られます。
しかし、この探訪クエストのすったもんだを思い出すと、長くなるのを承知で時系列と環境を踏まえた一本ものにせざるを得ませんでした。
いわば悪いお手本なのですが……行って良かったと……ええ、そうとしか言えません。無事だった以上は。
「岩抱きの洞杉(最大洞杉)」、自分も小山さんのサイトで見て釘付けになってました(立山杉も。富山はアブなすぎる……苦笑)。
まだ一番すごいのを見てないんだぞと強烈に後ろ髪を引かれつつ、雪が凄すぎて探せもしませんでしたっけ。
まあ、「船形の洞杉」だって十分スゴかったのもあるんですが、先の道の無さを見たら「ああ、もういいかあ……」的無力感が。
夏はクマ、いるでしょうねえ……。
ですが、行くんならパーティー組む以上のことはない。こちらこそぜひお願いします。
1人より2人より3人だ、自己責任をカタマリにするしかないぜ! と。笑
野生の巨杉の前に立つ。
雄大な大クスたちが与えてくれる感動などとは全く異なる強烈な刺激ですが、これもまた一生の思い出になる旅、撮影、経験には違いないです。
またぜひチャレンジしたい。ちまちま経験値を積んでいきたいものです。
yoji.koyama
to-fuさんお久しぶりです。
名前を間違い失礼しました。
お恥ずかしい限りです。
to-fuさんも行かれてたんですね。
あの山は確実に熊がいますよね。目撃情報もありますが、気配が凄い。
少し深く入りましたが、退散した唯一の山かもしれません。
岩抱洞杉を下から見上げた時の感動は、相当でした。
またじっくり行きたいもんですね。
RYO-JI
壮大なノンフィクションアドベンチャー小説を読ませていただいた気分です。
読む方も気合いが入りましたが、書き手の狛さんはもっと熱量を消費したでしょうね。
まさに大作ですよ、コレ。
そして読み終えた後の興奮も凄い!
洞杉群の異様さは当然としても、自然そのものの偉大さがしみじみ伝わってきました。
また環境の厳しさをしっかり明記されているのがいいですね。
こういう記事はついつい良いことだけに注力しがちですけど。
狛さんと同じような状況だったら、今の私なら途中で引き返してしまいそう。
いや、不安になってきっと引き返してますね(笑)。
狛
RYO-JIさん>
同じく、再読ありがとうございます!
書いておきたいことが色々あって長尺になりましたが、やってて楽しく、全く苦労しませんでした。笑
洞杉だけでも十分探訪と呼べるし、このためだけに魚津まで行く価値がある! と断言できます。
無事クルマまで戻ってきた時のあの達成感、もう一度味わいたいなあ……。
でもそうですね、記事にも書くことになった社会的良識のある方々に対し、「行かないなんて勿体ない」などとは言えません。
彼らは彼らでスマートかつ適切な判断を下しており、むしろこちらが見習わねばならないとも感じます。
冒険しなかった後悔、事故ってしまった後悔……どちらにせよ「後悔」ってやつは魔物です。
分別を持ちつつ、万全の体制で進みたいものですよね。
yoji.koyama
狛さん失礼しました。
送信した瞬間にもしかして名前違ったか?と焦りましたが、やはり間違えていました。
ユーモアで返していただきありがとうございます。
to-fuさんから聞かれていたのですね。船で少し話させてもらいましたが、
巨木はもう少し認められてもいい趣味ですよね。
あんまり人は増えてほしくはないのですが笑、見る人や興味を持つ人は増えてほしいですね。
Googlemapで知っていただいたと知り驚きました。少しは役に立てているようで嬉しい限りです。
巨木の歴は27歳から18年目だと記憶していますが、2018年頃からどんどん行く回数が増えてきています。
倒木の本数が増えると共に、急がないとという気持ちが増しました。
屋久島のバリエーションルートで巨木を探す旅をきっかけに「発見」「冒険」への旅も増えました。
そしてこの記事の富山 洞杉群・馬場島が拍車をかけています。
>しかし、この洞杉探訪は自分としては無鉄砲だったな……と少し反省しています。
無知ゆえの断行だったとも言えますし、もうしません。苦笑
私もこの山の裏側で無鉄砲に攻め、滑落し死にかけて「もういいわ」と山を後にした翌年、装備を増やしまた行ってしまってるので困ったもんです。それくらい富山の巨木には魅力があるのだと思います。
コマさんが言われるように、過酷な自然環境で堂々と立ち続ける姿は毎度胸を打ちます。
折れても不死鳥のように復活し、曲がり割け穴が空きそれでも光を求め天を目指す野性の巨木は到底言語化できないですね。
伝承2,000年とかよくありますが、弥生時代からきちんと伝わってきたのかと疑問が浮かびますし、
あと素人が計測して報告している環境省データももう少し精度が上がらないとあまり意味をなさないですね。
まぁ測ってもない自分が言うのもおかしな話ですが笑
こうして巨木の発信をされていること自体が多くの人の役に立っていると思います。
そして記録としても貴重なものになっていくと考えています。
また覗かせていただきます。
最後に、みなさんに「細蔵山 幻の大杉」は是非見てほしいと願っています。
狛
yoji.koyamaさん>
自分もブロガーさんの名前を間違えたことはありますし、お気になさらずに。笑
しかし、遠方に出かけた同士が一か所の巨樹の下で偶然出会うなんて。あの志々島、船……濃いロマンが感じられます。
コロナ謹慎中、自分はともかく周囲にいたわるべき人が多かったので、とにかく巨樹のことは見ぬふりしていましたが、その前に洞杉探訪を勢いで敢行しておいて本当に良かったです。
写真や動画でならすぐに/いくらでも見られる時代になりましたが、多くの人が実際に足を運ぶ、世間的ブームとなるには、あと一つ決定的な何かが必要と見えます。
このご時世、きっとその「何か」は、巨樹そのものとは関係ない要素なんだろうなあ……と想像してしまうので、まあまず、自分が楽しむのが最善だよね、と。
それがやる気の源だし、巨樹を埋もれさせない話のタネ播きに繋がっているはず。と。
その点、小山さんのサイトにおける富山巨樹探検、屋久島と双璧をなす大冒険で、まったく、幻の大杉たちの威容に唖然としつつ、こちらまで無闇な衝動が湧いてきます。
おっといかん、知識も経験も装備もないだろ……と自分を落ち着かせていますが、旅の規模をまた徐々に拡大していって、最大洞杉はぜひ改めて拝もうと野望を抱きました。
巨樹探訪から学ぶこと、そこから考察してみるべきこと、実にたくさんありますね。
洞杉はじめ富山の厳しい環境のスギには、特殊な生態をもって日本国土の際立った環境・地質を教えられました。
各地の巨樹にしても、歴史や伝承について点と点を繋げてくれる印象で、変な歴史書より有用だとすら感じます。
小山さんが18年続けてまだなお掘り下げる余地がある……日本は本当に広く深いんだなあと唸ります。
こちらも旅の参考に、勢い付けに、小山さんの冒険の書更新を楽しみにしております。
(とともに、我々ほぼ同い年なんですね。これからも年甲斐もなく旅を楽しんでいきましょう。笑)