大枝を失ってしまうと、広く腕を広げる樹は重量バランスを失ってしまう。
側面に回って全体像を見た時、失ったものの大きさを思い知らされました。
書籍「巨樹・巨木」で導いてくれた故・渡辺典博さんが書いている……
「今まで多くの巨木たちに会ってきたが、こんなに理想的な形に育った木も珍しい。
美しさを超えて神々しささえ感じる。まさしく『山の神』である」
その美しい姿は失われ、今は無数の支えに寄りかかるように生きている……。あまりにも痛々しい。
巨樹に付けられている解説文の数というのは、その樹の存在がどれだけ危ぶまれているかに比例しているように思います。
偉人お手植えや魔物が住んでいるという伝説もその一種で、そういった解説をつけることで、その樹がいかに特別なものであるかをアピールして、保護につなげる。
それが二つ、三つと増えていくのは、樹に何かがあった証拠……そして、このミズナラの周囲は解説文だらけでした。