巨樹たち

宮城県仙台市「賀茂神社のイロハモミジ」

杜の都の錦秋

 大丈夫かと思った途端に逆襲してくるコロナ禍中。本当に気を抜けないのだな……と自戒します。
 そうしながらも、だんだん「しても良いこと」は分かってきた昨今。
 その範疇でピークの紅葉も楽しもうと、仙台市の賀茂神社に出かけてきました。
 宮城県指定天然記念物のイロハモミジの絢爛な紅葉が出迎えてくれます。

 実に立派な神社で、参道も境内も広く、人は多いながらも感染リスクには過敏にならずに済みそうです。
 車を降りた時点ですでに大きなモミジの姿……燃え上がるような紅い色彩が目に飛び込んできています。
 鳥居を入り口とすれば、まず最初に出会うのがこの大イロハモミジ。

 想像以上の迫力。
 仙台市内にとどまらず、宮城県内でも代表格に挙げられる巨樹のひとつでしょう。
 これほどのモミジは少ないし、ひとたび秋が来れば目立つことこの上ない。
 しかし、実際に前に立ってみると、樹として非常にしっかりとしている点にも、高い価値があると感じます。

 いや、まあ、しかし……

 この時期は何を置いても紅葉ですね。
 満開の桜に何ひとつも劣らない。
 ひとつひとつ小さなモミジの葉が、巨樹であることにより、まさに無数に頭上に敷き詰められる。
 桜の花のように重層的ではなく、空の明るさが透けて見えるところがまた惚れ惚れするほど美しい。

 巨樹がテーマですから、幹も見ましょう。笑
 イロハモミジは2本あり、石段に近い方が太く、幹周囲は3.25メートル(地上1.5メートル地点での計測とのこと)。
 奥の1本はもう少し細く、2.35メートル。
 樹高はどちらも15メートルほど。
 斜面に生育しているので、幹も枝張りも前傾しており、石段を上っていると覆いかぶさってくるかのようです。

 他のカメラマンさん同様、夢中になって紅葉を撮ってしまいますが、一旦クールダウン。賀茂神社にも参詣させていただきます。
 七五三でおいでのご家族が多いせいか、とても華やいだ雰囲気でした。

 イロハモミジの他にもいくつか巨樹と呼べる樹があります。
 上の写真で両脇に立っているのが樹齢200年というアラカシ。幹は古木の凄みを見せますが、まだ樹勢は悪くなさそう。
 門の奥、左手にはタラヨウの巨樹があります。塩竈神社のタラヨウほどではないですが、かなり葉が大きくて厚く、日影にありながらも元気そうでした。
 アラカシは市指定天然記念物、タラヨウは県指定天然記念物です。

 さて、また戻って……。
 「イロハモミジ」は、モミジの代表的な品種。
 身近にある割には正確に知らないものですが、モミジもカエデも同じカエデ属の植物。
 イロハモミジのことをイロハカエデとも呼ぶそうなので、「区別がつかない」というより「どっちでも同じ」というもののようです。

 とは言え、カエデ属でも葉が大きいものも葉の裂け数が違うものもある。
 この樹がイロハモミジでなかったら、紅葉風景はだいぶ違うものになっていたでしょう。

 繰り返しこの見事な紅葉を眺めましたが、やはり一番美しいのは、樹冠の下に入って見上げた時。
 外側からでは濃すぎる赤に見えたものが、緑、黄、橙を経て真紅に変わるグラデーションがとにかく圧巻でした。

 解説板。
 賀茂神社は元々、塩竈神社に鎮座していたものを遷したものだそうで、タラヨウがあったのもその由縁に思えます。
 元禄10(1697)年には社殿ができていたようなので、100年ほど建ってから、何かの記念樹としてこれらの巨樹が植えられたということなのでしょう。

 大勢のカメラマンさんの他、七五三の晴れ着姿をモミジの前で撮るご家族も。
 中には愛犬に晴れ着を着せて撮っている方もおられましたが、考えてみれば、七五三なら愛犬でも祝ってあげられるんですね。なるほど。

 ニュース番組によれば、イロハモミジの見頃は今週一杯くらいが目安のようです(毎年11/12〜21頃か)。
 ケヤキにイチョウに、モミジ。仙台は実に樹が映える街ですね。
 またひとつ、「杜の都」の魅力を発見することができました。

「賀茂神社のイロハモミジ」
宮城県仙台市泉区古内糺
賀茂神社
推定樹齢:200年
樹種:イロハモミジ
樹高:16 / 15メートル
幹周:3.25 / 2.35メートル

県指定天然記念物
市指定保存樹木
他に、
アラカシ(市天)
タラヨウ(県天)
訪問:2020.11.15

 探訪メモ:
 仙台を代表する立派な神社。
 駐車場もかなり広く作って下さっています。
 紅葉シーズンは混雑しますので、むしろ場内での交通事故に気をつけてください。

4件のコメント

  • to-fu

    これは素晴らしい紅葉!今年は私も初めてのイロハモミジの巨樹を見に遠路はるばる三重県まで行ってきたのですが、巨樹としては楽しめたものの全く紅葉しておらずで…というか何だか葉に元気がなく、さらには気温0℃という容赦なく気分を盛り下げてくれるシチュエーションも相まってどうもイマイチな遠征となりました 笑

    ここまで美しいともう巨樹とかどうでもよくなるくらいですね。仰るように春の桜を眺める感覚に近い。ただ、青空との相性の良さでは桜をも凌駕するように感じます。画面越しとはいえこれほどまでに美しいモミジを見られるともう感無量ですねー。これでもう今年の紅葉はいいや、と思ってしまったくらい。眼福です。

    まだまだ健康そうなので来年以降も引き続き楽しみにできるのもいいですね。
    ああ、東北の紅葉を眺めながらのんびり秘湯に浸かりたいです 笑

    • to-fuさん>
      桜も難しければ紅葉も難しいですよね。特にイチョウなんかは個体ごとに差があるように思います。
      寒ければいいというもんでもなさそうですね……。
      通常の流れだったら青森のイチョウを目指したところですが、今年はやめておきました。楽しみは取っておこう、と。笑

      巨樹としてはさほどでもないサイズに見えますが、実際に見てみると1本の樹の範疇を完全に超えたものでした。
      さすがに渓流だとか山並みは背景になく、絶えず多くの人の間で撮ることになりますが、幹や枝と色彩の流れが魅力的で楽しめました。
      アクセスがとてもよく、紅葉盛りのニュースを聞いてから出かけられる。そりゃ、皆さん来ますよね。笑

      秘湯……いいですねえ。
      東北の秋は短いですから、ああもう明日には散るかな、明後日は雪かもな、なんて言いながら。
      ずるずる居ついてしまって、年越しになったりして。

  • RYO-JI

    はぁ、これはこれはとても美しいモミジですねぇ。
    ベストタイミングで訪問できたことは至福の喜びでしょう。
    感染リスクが低ければ、年に一度はこういうものを目にして心を豊かに保たないといけないと思います。
    巨樹としてはギリギリのサイズですが、存在感は充分でわざわざ見に行くべき価値ある一本だなぁと。
    どうしても鮮やかな色彩に目が奪われがちですが、最後のモノクロから枝振りも立ち姿にも惹かれるものがありますね。

    • RYO-JIさん>
      このモミジのことは宮城県の巨樹を本で最初に調べた時から知っていましたが、やっぱり紅葉時まで引っ張ってしまいましたね。
      やはり人混みがニガテなので(もちろんコロナもありますし)、場所が狭いと足が遠のいてしましますが、こちらは便利でした。
      こういう光景が気軽に楽しめるのはありがたいなと感じました。

      モノクロにするとモミジかどうかわからなくなるんですけどね。ちょっとケヤキみたいに立派です。笑

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