巨樹たち

福島県いわき市「小川諏訪神社のシダレザクラ」

濃密な枝垂れの天幕

 夏、仕事で関東へ出かける道のりで福島県いわき市周辺の巨樹を巡りました。
 「石森のカリン」「観音寺跡のスダジイ」を見て、さあ茨城へ向かうか……という途中、なんとなく立ち寄った諏訪神社で出会ったシダレザクラです。

 7月ですから、当然ピンクの花なんて咲いていない。
 しかし、一見して「これはただ事じゃないぞ!」とカメラを取り出させる見事なサクラ。
 葉桜でも人を惹きつける「小川諏訪神社のシダレザクラ」です。

 拝殿に向かおうとして足を止める。
 いやこれ……このシダレザクラ、やっぱりタダモノじゃない。
 一段高くなったところから地表レベルまで、すっぽりと葉の波(滝か?)が覆い尽くしている。

 枝の密度があまりにも濃いため、すだれをかき分けるように覗き込まないと幹が見えない。
 案の定、巨樹の基準(地上1.3メートル地点での幹周3メートル)を満たす根幹が垣間見えます。

 拝殿の裏から周り、シダレザクラを正面に捉えたところ。
 見事。画になる。そうとしか言えませんね。

 この濃い緑色が全て桜色の花、花、花……だとしたら、一体どれほど絢爛なことか。
 同福島県が全国に誇る「三春滝桜」のダウンサイジング版と言えるかもしれない。
 密度ではかえってこちらの方が勝っているかも。

 いや、無理矢理に想像花見をしなくとも、この葉桜の緑だってかなりの美しさです。
 高齢な巨樹でありつつ、樹勢の旺盛さは群を抜いている。

 桜本体の見事さと、鬱蒼とした緑の滝に翻弄され、解説板があることになかなか気づきませんでした。
 枯れたところが動物に見える? ほほう……(わからない)

 現地でも地域の宝としてきちんと管理されていることが伺えましたが、帰宅後、ネットで調べてみて、超有名な名桜だと判明して驚きましたよ。
 偶然とはいえ、出会えてよかった一本です。

(モノクロにしたら、少しだけ想像花見に近くなったかも?)

「小川諏訪神社のシダレザクラ」
 福島県いわき市小川町高萩家ノ前140
 小川諏訪神社
 推定樹齢:500年以上
 樹種:シダレザクラ
 樹高:12メートル
 幹周:3.5メートル

 市指定天然記念物
 訪問:2020.7

探訪メモ:
 神社に駐車場がありますが、このサクラの人気のために開花時期は駐車不能、交通整理体制が敷かれるようです。
 臨時駐車場が整備されるともあり、桜祭状態。
(「春のいわきを観光の際には絶対に外せない人気スポットです。」)

 開花状況はいわき市の観光サイトの桜情報のページに載りますので、トータルでチェックするのが良いでしょう。

 こちらは小玉ダム。
 小川諏訪神社から西に数キロの位置だったので、ついで(のついで)に寄ってみました。

 デカい! 高い! 広い!
 巨樹マニアの13倍の人口規模を誇るというダムマニア(※個人の見解です)の皆さんには有名なスポットなのではないでしょうか。

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