そして、それ以上に驚くべきことは、これが一本杉であるという立地的な事実です。
「苛烈な生存競争の上で巨大にならざるを得なかった」などという物語もここには存在せず、むしろ彼を守る雑木の群れや山陰も皆無なため、これまでの数百年から千年、強風や落雷の恐怖からどうして身を守れたのかが不思議でなりません。
ただし、姿形をよくよく見ていると、合体樹である可能性は捨てきれないかも。
この開けた土地に巨樹を育てたいという強い願いがあった場合、幾本かの苗を同時に植える手法はあったと思うのです。
いや、それだとしても、普通は落雷で真っ二つ、または炎上でしょう。奇跡と言って過言ではない立ち姿です。
4件のコメント
to-fu
この杉沢の大スギはもちろん存じ上げていましたが、ここまでその巨大さが伝わる写真を見たのは初めてです。枝ぶりにどことなくヒノキを思わせるような荒々しさがあり、近畿圏のスギはもちろんのこと獣のような北陸のスギとも違う。まるで峻険な山でも眺めているようで新鮮です。
仰るように余りにも巨大な存在ってどう頑張っても2次元のキャンバスには収まり切らないと思うんですよね。それこそあの四国の加茂の大クスや杉の大杉なんかも全く同じことを感じました。(そしてもちろん写真には全く満足なんて出来てない。)でもだからこそ面白い。それこそ腕を磨いて機材も取っ替え引っ替えしながら、一生をかけて挑戦し続ければいいのかなと考えています。それにしてもあの雄大さを一瞬で3次元に写し取る人間の目、その迫力をやはり一瞬で咀嚼してしまう脳みそ…人体って凄いなあと改めて思いますよ。現代科学最先端の撮影機材をもってしても、まだまだ人体には敵いませんからねえ。
番付を興味深く拝見しました。スギの巨樹は結構な数を回ってきたつもりでいましたが、まだ未訪問のものはもちろんのこと全くノーマークだった巨樹も多くあってスギ界の奥深さを改めて痛感させられますね。
狛
to-fuさん>
かの渡辺本でも惚れ惚れするような理想的巨樹として書かれていたのが印象深いです。樹形がキレイですよね。
しかしその魅力を持ち帰ろうとするのは、本当に難しい! 隙がないとも言えると思います。
確かに、杉の大杉、加茂の大クスと似たタイプの存在感の巨大さがあり、どこをどう撮るべきなのか目が迷ってしまいます。ましてや全体像を撮ろうなぞ……。
RYO-JIさんも同じように言われてますが、いっそドローンまで導入して体感的視覚というか、そういう像を得るまでやらないとダメなのかも。
一方で、無限段の多焦点合成機能を持った肉眼を持ちつつも、スチル撮影にもまだまだ可能性があるということを我々は知っている。だからこそ何度もチャレンジしてしまうんですよね。
いっそ明け方とか夕暮れ、この杉の特別な表情を狙えることを期待してみるのもいいかもしれません。
スギの番付は、素直に相撲のそれとイメージが重なり、俺の贔屓はどこにいるんだ?! みたいに見てしまいますよね。笑
ああやっぱりというのもあり、屋久島部屋が外国勢に見えたり、それもあれもになったり。
興奮しますね、この21世紀場所。
RYO-JI
しばらくは近隣の身近な(小ぶりの)巨樹を回ってそれはそれで充実しているんですが、
こんな番付の上位に来る巨樹を見てしまうと我慢が・・・(笑)。
想像を軽く超えてくる圧倒的なスケール感が巨樹最大の魅力でもあると思うので、
これはまさに心臓を一撃で貫く存在ですね。
そうですかそうですか、これ以上ないと思われる武器15-30mmをもってしても敗北感に包まれるとは。
こうなったらもう魚眼でグワ~ンとやっちゃうか、文明の利器ドローンで見下してやるしかないのかもしれませんよ(笑)。
まぁ冗談はともかく、手に負えないような存在には数多く通って数を撮って納得できる一枚を手にできれば最高でしょうね!
狛
RYO-JIさん>
僕も小ぶりなもの、イロモノが多かったように思うんですが、その中でこの樹の前に偶然出てしまうとは。
自分でも、「寄ってけ。でもまた撮らしてやらん。笑」と言われているように感じました。
むっずかしいんですよ、これが。ハイ、すごくでかい。で、どうする? みたいな。
欠点らしい欠点、影らしい影も無いところがまた困ってしまうところ。ぜひRYO-JIさんもこの場にお連れして、感想を聞いてみたいです。
15-30ミリがあれば何とかなると思ったわけではありませんが、ここまでどうにもならないとも思ってなかったです。笑
ちょっと半周撮ってみて、あ、こりゃやっぱダメだ、みたいな。
スケールと貴重さしては特天クラスに匹敵すると思うので、もちろん無断ドローン使用はアウトですが、このとんでもなく高いトップからの眺めを一度体感してみたいものです。
近くを通ったら、また寄ると思います。今度はちょっと変わった切り口で。ええ、頑張ります……。