落雷の傷跡はわかっても、この傾きは一体どうしたものか、説明がつきません。
実は、解説文を読むとその理由がわかるのですが、これがまた奇想天外です。
……なんとこの巨樹、元居た場所から移動した経験があるのです。しかも、1日のうちに180メートルも。
すでにその時には巨大な樹であったため、停止したそのままの角度で固着してしまったということらしく……。
もちろん杉の樹がノシノシ歩くわけではないので、犯人は地震です。
1847年にこの地を襲った震災で、もともと崖上にあった大杉が崖ごと滑り落ちてきたのだそうです。
あまつさえその後雷に打たれるとは、なんてツイてない大杉だろうと同情もしますが、杉自身は変わった格好のまま、健気に生き続けています。
とんでもないことが起きるもんだな……とは、巨樹自身が一番思っているのではないでしょうか。