巨樹たち 千葉県印西市「吉高の大桜」 / 0件のコメント 一樹で桜祭を催す大山桜 千葉県印西市は、都心への利便性も高い一方で利根川沿いの自然環境も持ち合わせ、住みやすさランキングで連続首位をとったという、若い世代にも注目度の高い街です。 中心部は相当高度に開発されていますが、周辺部はのどかな田園風景が続きます。 そこに、全国を視野に入れても名が挙がるほどの立派な山桜があると知り、雨の中でしたが、訪ねに行くことにしました。 (2017年の探訪記です) 桜は丘陵の上の集落にあり、カーナビに案内させることもできたものの、かなり細い道を登っていかねばなりません。 前述のように地元ではとても有名な樹であり、開花時期には混雑を避けるために交通整理体制が敷かれます。 丘陵の上の集落はどこも道が狭くてすれ違いもできないし、ましてや停めるところもない。 近所の人が急ごしらえで作ってくれたらしき「P」がありましたが、畑を均したっぽい地面、この雨でご覧のぬかるみに。笑 かなり離れた広い路肩に停めて歩いて向かうと、確かに集落内の道路は通行止めにしてある。 「通行証」を掲示した軽トラがパトロールしていて、ガードマンのおじさんが合羽姿で常駐しています。 もちろん地元の方々のご厚意のおかげで訪問できるわけですが、この時期はどうしても窮屈……。 しかし、結果としては、迷いを振り切って力押しで見に行った甲斐のある名桜でした。 本降りの雨の中で樹冠の規模を見た途端、おおっと声をあげる。 樹は個人所有となっていて、畑の中にありますが、周囲は丁寧に整備されています。 少し小高い築山のようなところに育っていて、周囲の囲いを咲き乱れる菜の花畑がガード、さらにその外側の広範囲に渡って柔らかなウッドチップが敷き詰められています。 どれだけ大切に思われているかが伺えます。 正面から対峙した「吉高の大桜」の姿。 圧倒されるような巨樹ぶりです。 山桜であり、花とともに葉が出ることもあってか、ソメイヨシノよりも野生の逞しさが感じられます。 しかし、残念ながら花は満開とはいかず。 ソメイヨシノの満開宣言は出たものの、山桜は若干時期が遅くなるようです。 ガードマンさんが話しかけてきてくれて、「これを何分咲きかって訊かれてもねえ……正直困っちゃったよ」 なんてこぼしてましたが。 一部咲きくらいでしょうかね……。苦笑 とは言え、「ひとたび満開になると、2、3日しか保たない」そうで。 (開花情報などは印西市のホームページに掲載されます。) 満開を撮ろうと思ったら、こりゃあキャンプしかないかな、なんて。 でも、最大幅24メートルというこの枝のスケール感からして、満開はさぞものすごいに違いありません。 会社休んででも密着して撮る価値があるぞ……と、写真撮りとしての熱意が試されそうです。 ガードマンのおじさんは、雨の中見に来たこちらを不憫に思ったのか、自分のもののように「ごめんね」なんて言ってくれました。 確かに風とカメラのために傘もさせず、ズボンはずぶ濡れでした。 ありがとうございます。でも、巨樹として見に来ているんで、満開じゃなくても全然平気です! このすごい幹だけで、訪ねて来た苦労が報われる。 (……そう説明したら、「そうなの、ではごゆっくり」とおっしゃられてましたっけ) 保護の成果でしょう、とても健やかそうな樹です。 枝の欠損などもなさそうで、のびのび、広大な範囲に枝を広げていました。 解説文(クリックで拡大)。 根周りで数値を出していますが、巨樹の先輩諸氏がおっしゃるように、この樹の根周りと幹周りの大きさはほぼ同じなので、幹周6メートルほどはあると見て良いでしょう。 この記事をまとめている今頃、満開なのかな……と思うとそわそわします。 咲けばきっと大賑わい。じっくり撮れないかもしれません。 しかしいずれは満開を撮りに行かねば! そう思わせてくれる桜巨樹ですね。 「吉高の大桜」千葉県印西市吉高樹齢:300年樹種:ヤマザクラ樹高:11.7メートル幹周:6メートル市指定天然記念物2017.4.15 訪問 探訪メモ: 集落内はかなり狭く、開花時期には混雑します。 ガードマンさんの話によれば、桜祭が設定した駐車場は2キロほど離れた学校?らしいので、花見時には公共交通+徒歩を前提で。 この年(2017年)、ヤマザクラは一分咲きだったのに、エドヒガンはもう散ってしまっていました(山武市「長光寺のしだれ桜」など)。 桜祭の主催側も読みを外してしまったようです。桜はシビアです……。 後日、地元の方から、吉高の山桜の写真がプリントされたメモ帳をいただきました。 祭ではこういったグッズ販売もしているようです。