個人的に面白いと思ったのは、「なぜここにイチョウなのか?」という点。
イチョウといえば仏教伝来と同時期に持ち込まれたという説もあるらしく、お寺の巨樹として見かけるのが一般的に思います。
加えて、倒壊した「鶴岡八幡宮のイチョウ」、仙台の「苦竹のイチョウ」など、八幡神社にあるもの。
八幡神は神仏習合に積極的で「八幡大菩薩」と化し、「仏教寺院の守護神」というすごい側面を持つ。
神社でありながら、仏教文化に関係ある要素には違いないと思うわけです。
ために、八幡神社にイチョウがあってもおかしくはない。と言えるのではと(個人的考察)。
しかし、前半にも書いたように由豆佐売神社は数ある神社の中でも古く、由緒ある神社。
祭神も八幡神ではなく、溝樴姫命(みぞくいひめのみこと)、大己貴命、少彦名命。
このイチョウは、どの時点で(あるいは誰に)ここに植えられたものなのか?
一応のヒントは、神社の歴史として、
「現在の拝殿は、安永年間(1775年頃)の造営で、昔は観音堂と称し、十一面観音を祀り、社名も滝蔵権現と称し、神仏習合時代の密教寺院に多く見られる平面構造となっています。」
とあり、この時代に密教文化の息吹として持ち込まれたものなのかもしれません。
4件のコメント
RYO-JI
見事な乳柱を持つイチョウですね。
乳というよりは氷柱を連想させるような形状だと思いました。
杉並木に交じって存在するのが面白いですよね。
それに負けじとドンドン樹高が増していったと・・・逞しい(笑)。
上に下にと勢力拡大に勤しんでいるようですが、まだまだ巨大化する勢いが感じられますよ。
のちに東北を代表する一本に育っても不思議はないでしょうね。
解説版の文言ですが、変に盛ったりしていないところ、むしろ自虐的?いやぁ好感が持てます(笑)。
神社の雰囲気・空気感も良さそうでイチョウ抜きにしても参拝したいと思えます。
黄葉時だと周囲からイチョウだけが浮いて見えて壮観でしょうね。
狛
RYO-JIさん>
柔らかそうな質感のものもある乳柱ですが、言われてみれば確かにこれは氷柱、氷瀑みたいにも見えますね。
樹高はスギに負けじと高かったですよ。ほんとイチョウは、イチョウだからこうという枠がなく、いかようにでも変形して生きていけるところがすごいです。
それだけに、この場所の数百年単位の変遷も記録しているようにも思いますね。
とても静かで、薄暗いですが感じの良い空気が漂い、いかにも古い神社の風格がありました。
解説文の語り口、面白いですよね。短い文ながら、変に無理をしていない感じが。笑
to-fu
一本ずっしりと芯が通った良いイチョウですね。
イチョウはどうしてもひこばえが茂りすぎて実体がよく分からない…下手すると小さな森みたいなってしまったものが多いですが、このイチョウはドカッと大理石の柱でもぶっ刺したかのような確かな重量感、存在感があります。大量の気根があるからなのか、とても7m台のイチョウには見えませんね。10m近くありそうな迫力を感じます。
それにしても寒そうなところですね…如何にイチョウがタフであるか思い知らされます。日本一のイチョウからしてあんな寒そうなところに立っているのでお察しなのかもしれませんが。冒頭で書かれているとおり、このイチョウと絡めて温泉旅館に泊まれたらもう最高の旅になるでしょうね。温泉を取るならやっぱり冬、でも冬はイチョウが散ってしまうし…と、ある意味非常に悩ましいことになりそうです。
狛
to-fuさん>
御神木がイチョウというケースですが、できるだけ御神木的に見えるように育てたのかもしれません。
この立ち位置もまさに御神木という感じ。石段の先にそびえているので、下から見上げると50メートル超に見えて壮観です。
ご指摘の通り、大きな傷みもない主幹を拝めるのも良いところですね。
そうですね……冬の温泉地風景を考えると、ここはどんな感じになるんでしょう。
文人を気取って逗留して雪降る中参詣してみましょうか。……きっと寒すぎて早々に宿に逃げ帰るんですよね。笑
黄葉の時期では、きっとこの大イチョウだけが別の明るい色彩を放って浮き上がるのだと思います。