東北の荒ぶる巨杉を見続けたせいか、驚くような巨大さではないんだな……という感想を持ちます。
じっと立っている。枝張りも面積も少なく、修行のために一切無駄な肉が削ぎ落とされた僧のような印象。背後に五重塔が見えるせいもあるでしょうか。
雪の時期に来ると、そんな印象はまた一層深まると思います。
やはり多くの参拝客の方々が連なり、落ち着いて長時間……という感じではありません。
一眼レフで撮っていると、さも「玄人のベストアングルはあそこだ!」みたいに思うらしく、順番待ちが発生してしまうという。笑
解説板もありますが、ちゃんと撮れませんでしたので、内容を書きます。
羽黒山の爺スギ(はぐろさんのじじすぎ)
国天然記念物 S26(1951).6.9指定
樹齢推定1000年以上・根周り10.5m・幹囲8.25m
羽黒山で最大最古の巨木。付近に婆スギがあったが明治35年(1902)の暴風に倒れる。
4件のコメント
to-fu
門前の杉を見て、これが爺杉か?なんて勘違いしてしまいそうです。スタート地点からこれとはテンション上がりますね。それにしても爺杉。東北の山中にもこんなスタンダードな巨杉が存在するのだなと、普段山奥でウラスギと対峙するのとは真逆の意味で驚きました。本来我々の想像する巨杉とはまさにこれなんですが…
それにしてもこのストイックな参道。近畿圏の神様仏様に対する信仰心とはまた種類が違うように感じます。自然そのものを崇拝しているかのような。北陸の白山信仰やあの四国の剣山と同じで、厳しい自然環境というのはそれだけで畏怖の対象となるのでしょうね。これだけ重々しい雰囲気を持つ神社だけに人の多さが残念でにも思えますけど、今はただ世の中に活気が戻りつつあるこの光景を喜ぶべきなのかもしれません。我々にも言えることですが一時は出かける気力もないくらい心身ともに疲弊してましたからね…
狛
to-fuさん>
大きさという点で言えば、この門前の杉も含めてアベレージが非常に高く、地上1.3mの幹周で……なんて集計していたら大変なことになるでしょう。
おそらく大きな杉に対する古来からの理想の姿が、このような直線的な表杉形状なのであろうと思います。
その点で、爺杉は、まるで羽黒山の杉全体におけるお手本のような存在のようです。
すべからく全ての杉が爺杉のごとくになるのだ……というように。
山岳という地形を活かした修行の場であったわけで、低い羽黒山はその玄関口あるいは事務所のような存在だったのだなと感じました。
月山や湯殿山に登れないような人でも、その雰囲気とご利益を何割かいただけるというような。
そういう意味では、今、羽黒山に多くの参拝客が来られるのは当然でもあるわけですね。確かに、そう復興してきたのはいいことだと言えるかもしれません。
神と仏が入り混じり、入ったり出たりする日本の信仰の歴史は難しくも興味深いです。
巨樹はそれを通しで見てきた。ここまでよくぞ生き延びてくれたと言いたいです。
RYO-JI
出羽三山、関西人の私でもその名称は耳にしたことがあります。
しかし山深いイメージのある東北においてその羽黒山の標高がたったそれだけとは驚きです。
それでもさすがは修験の霊山だけあって羽黒山も知っていますとも。
単幹の特天はもちろん憧れの的ですが、杉並木としてその存在が指定されているのは余程のことでしょう。
仮にこの爺スギが無くとも、是が非でも見ておきたいと思わずにはいられませんね。
想像するに、こちらの室生寺の奥の院に向かう階段沿いの杉並木を何倍も凄くした感じ・・・あぁ想像できません(笑)。
爺スギも東北のイメージを覆すような美しい樹形をしていますね。
狛さんの「御神木として、真っ直ぐに立つことを運命づけられたスギ」という表現に大いに納得させられました。
学生のトレーニングコース?になっているのは、いくら何でもそりゃないだろうと思ってしまいますね。
これは学生が悪いというより、コーチ?顧問?の責任であってすぐにでも止めて欲しいと思いました。
まぁこの偉大な爺スギさんは、そんなことは些細なことであって全然気にもしていないかもしれませんが。
狛
RYO-JIさん>
合宿とか遠征がようやく再開されたのか、活きのいい連中がおりました。
「コンチワー」とか挨拶してくれたりするんですが、いや、そこじゃないだろと。笑
出羽三山の名前くらいは関東人の僕でも知っていましたが、羽黒山だけ低いというのは今回初めて知りました。行ってみるものですね。
特別天然記念物というのは、その信仰の地としての重要さも加味されているのではないかと思います。
並木自体は室生寺の方が深く長いですし、杉の規模は同じくらいかと思いますね。
室生寺のような個性豊かな杉が見られるようなところはないので、僕個人としては室生寺の方が興奮したかも……笑
「天然」記念物指定というものはわかりそうでわからない基準で決められてますね。
爺杉は巨大さよりも静けさの印象を受ける巨樹でした。
ものすごく多くの人の目に触れる巨樹ですが、修験の信仰の象徴として立っているようにも見えました。