「南無妙法蓮華経」で有名な法華宗のお寺である長久寺に到着すると、迷いようもなくカヤの大きな樹冠が目に入ります。
現地の解説によれば幹周囲は5.87メートル。環境省の巨樹DBでは7メートルとなっています(教育委員会社会教育課、2000年追加計測とのこと。しかし、5本の株立ち?)。
直接計測できる環境ではないですが、7メートルの方を採っても誇張感はないかな……と。
樹高はそれほどありませんが、傘状に展開した樹冠は南北で差し渡し23メートルにもなる。
先端は地上すれすれの高さまで伸び、外からでは幹の状態がわからないほど。
よって、幹が写っている写真はすべてこの巨樹の枝の下に入って撮っています。
この整った理想的な樹形。美しい樹です。
4件のコメント
RYO-JI
一枚目の写真で驚きましたが、本当に見事な形ですよねぇ。
カヤのイメージとはまったく違う形でとても新鮮。
何代にも渡り世話をしてもらって形を維持しているという京都西本願寺のイチョウを思い出しました。
to-fuさんに『育成に数百年かけた大規模な盆栽』と例えられたあのイチョウです(笑)。
まぁこのマルミガヤさすがにそこまで人の手は入っていないと思いますが、そう思ってしまうくらい完璧なバランスで枝が広がっていますね。
幹周はもっとあるように見えますよ。
低い位置からいくつも枝分かれしているので、計測地点が少しズレただけで数値は大きく変動しそうですし。
その土地を知るには巨樹だけじゃなく、歴史の背景を頭に入れつつ遺跡や古墳も同時に巡るべきなんでしょうね。
特に宮城は関西とはまったく違った文化圏なので面白そうです。
狛
RYO-JIさん>
カヤの巨樹というと、どこかが壊れている印象なので、これは貴重ですね。
大きさで圧倒されるタイプの巨樹ではないので、名木に近いかもしれません。
さすがにイチョウや臥龍タイプの松のようにはなっていませんが、たしかにあの系列に加えたくなります。
カヤでもこうしたことができるんですね。
幹周囲については、もしこれが指定時(昭和46)のままだとすると、確かに7メートルまで育っていてもおかしくはありません。それだけの信頼できる樹勢があります。
しかし、さらに言えばそこからも20年経っているわけで……と、許されるなら、このあたりで一度長尺をあてがわせてもらいたいものですね。笑
さすがに奈良ほどではありませんが、宮城も古墳時代の遺跡が街中に点在していたりするんですよ。
さらに北へ向かうと縄文時代のものもある。その時代からずっと人が住んでいたというのは、その場で考えてみると驚くべきことです。
その目印に巨樹があるようにも感じますね。
to-fu
私もRYO-JIさんと全く同じ「西本願寺のイチョウ」が真っ先に思い浮かびました。
これまた完璧なバランス。そういえばイチョウと並んでカヤもお寺でよく見かける樹種ですが、こうして見栄えに拘って手入れされたものを見るのは初めてです。用事があるのはあくまでもカヤの実で、樹木本体には大きな価値がないんだとばかりに植えっぱなし…みたいなものがほとんどのような気がします。リスト上で数字とにらめっこしていると後回しにしてしまいそうですが、このカヤをチョイスするとは流石狛さん。
希少種であるマルミガヤが東北の一部分にだけ広がっているのを見ると、やっぱり何らかの人為的な意図は感じてしまいますけどねえ。それと「マルミガヤ」ではなく「まるみがや」というのが、何だか柔らかくてイイです。「はだかがや」「ひだりまきがや」だとどうもイマイチですが、「まるみがや」はしっくり来て凄くイイと思います。
狛
to-fuさん>
カヤもなかなかできるじゃないか! などと謎の上から目線で感嘆しまった巨樹でした。笑
カヤといえばボロボロなものも多く、まばらになった葉に蜘蛛の巣が張って……というのが普通なのに、この樹は絵に描いたように美しいです。
言われる通りで、僕もカヤには実用面での植樹のイメージが強かったのです。この樹は見映えに対して力を入れて育てられた個体としては、これまで出会った中で最も優れたカヤと言っていいと思いますね。
これから東北を歩いていくうちに、これを超えるカヤが出てくるのか……どちらかと言えば地味な樹種ですが、それも楽しみです。
マルミガヤの分布としては、圧倒的に宮城に偏っている印象です。
この丸い実はいいぞ、上様のお墨付きだありがたや……などと広がっていった絵が浮かびますね。
カヤの変種は、みんな5文字か7文字で、俳句に向くと常々思っているんです。口に出した時の語感がいいというか。
生物学状の分類呼称というより、昔の人、ここを狙ってないでしょうか。笑