さて、解説板です。なかなか骨太な伝承が載っていますよ。
平安末期、いまから900年以上も前に、大軍を率いた源義家がこの社に戦勝を願い、その際に地にさした鞭が育ってこの巨樹となった……とのこと。
なるほど。いや、案外派手な謂れだし、突っ込みどころがいっぱいある。笑
まず、そんな大掛かりな戦争の勝利を、こんなちっちゃな神社に祈願するものでしょうか。当時は立派だった説もありましょうが、だったら隣の静神社に行くでしょう。どうして稲荷神社なんだ義家サン。
そしてまた、鞭を忘れてって馬に乗れたのでしょうか。耐久力はあまりないとされるムクの枝で鞭が作れるのかもちょっとわからない……。
いや、ごめんなさい。つまらないことを書きました。
しかし大切な点は、伝承がいかにフカシていようとも、この巨樹を見ると、900年くらい生きていても不思議ではないな……と思えてくることです。
この逆の例もいっぱいあるのですから、この感覚は嬉しく思いたいところです。
他、「ニレ科樹木の北限の巨木として」とありますが、これはちょっと違う。
ムクはバラ目アサ科ですし、ニレ科の巨樹というならケヤキはむしろ東北が本場です。
何を言いたいのか……間違っただけでしょうか。
幹周囲に関してはここには7メートルとありますが、環境省DBでは7.3メートル(2010年)の表記があり、茨城県で最大のムクノキということになります。
全国的に見れば、西日本に10メートルに達する猛者があるので、これでも15位です。
ひっそりとたたずむ巨樹ですが、味わい深く、好きな樹です。
また道すがら、那珂を通る時には寄ってみたいと思っています。
4件のコメント
RYO-JI
ごめんなさい、途中で送信しちゃいました(汗)。
良ければ削除してください。
まず、静のむくの木という名称に惹かれました、いいじゃないですか!
で読み進めいていくうちに静神社ではなく桂木稲荷神社にあるのに何故「静」なのかという疑問が。
Google Mapを見て納得、地名だったんですね。
でもこのムクの姿を見ていると、長い人生を生き、様々な経験をし、歴史を眺め、すべてを悟った老樹。
だから地名からではなく、ただ静かにそこに存在している「静のむくの木」という名称ですらあるように感じます。
開けた場所にあるように見えますので台風など強風が心配ですね。
落雷はより高いカヤが危なそうですが。
いずれにせよ、骨太な伝承が残っている?貴重なムクノキですから後世まで残っていてほしい記念物でしょう。
狛
RYO-JIさん>
静神社からの地名ですが、雰囲気があるし、歴史も実際古いようです。
しかし、神社ファン・巨樹ファンとしては現在の運営に残念なところがあり……切った樹は元には戻りませんから、無念が募ります。
初見の方に無理やり静神社を避けろというつもりはありませんが、RYO-JIさんのおっしゃる通り、このむくの木を「静のむくの木」と認識していただくだけで良いと思います。
静地域での筆頭巨樹は現在このムクであることは確かで、自分としては再訪するのに十分な風格を感じていますしね。
幹の大部分が乾燥しきっていて、粘りがなさそうなので、ひょっとしたら……と無確認のまま4年前の写真を載せる気になれず。
しかし、こうなると火事も心配ですね。落雷に、不審火も……いろいろと心配になります。
to-fu
ここは私が単独で訪問しようと下調べしていたら、隣の神社の宮司さんの人格があまりにもアレだというレビューを多数目にしたもので、結局次回以降へと回してしまったところではありませんか。全くの同感で、特に樹勢が衰えているわけでもない神域の樹木たちをバッサバッサと伐採してしまうのはいかがなものかと…県下でも特に歴史ある神社のようなので残念に思います。
しかしこのムクの姿を見てしまうと、隣の静神社抜きにしても行っておけばよかったと後悔が残りますね。衰えは見られるもののムクの巨樹としてはまだまだ生命感の残る方で、見応えとしては相当上位に来るのではないでしょうか。この物静かに佇む年老いた賢者のような姿は魅力的です。(近隣に上位ランカーのムクが揃っているのですが、実際訪問した限りでは三重県の「椋本の大ムク」と京都の「天引八幡神社のムクノキ」以外はほとんど死に体と言ってもいい状態でした…)これでまた関東に行く楽しみが増えました。茨城の巨樹も3日くらいかけてゆっくり回ってみたいですねえ。
狛
to-fuさん>
僕も後からレビューを見たら、1件2件ではなく、皆さん同じことを書いておられるのでびっくりしました。
挨拶の参詣をするだけで御朱印をもらうわけでもないので、巨樹ファンとしては大きな杉が軒並み伐採されていたことがひたすら残念で……。
切ったばかりだったようで、木挽クズがたくさん散らばり、切り口も真新しかった。これ、枯れたわけじゃないよね……と、思わず表情が強張ってしまいました。
歴史と品格?の強調と同時にこういうことをするアンバランスさがちょっと受け入れ難いです。
このむくの木がなければ静には再度来なかったと思うんです。ちょっと離れたところからこの明らかに太い幹が見えて、あれだ! と今回もテンションが上がったことを嬉しく思います。
ムクの巨樹はやはり木質が脆く寿命が長くないように感じますね。ケヤキも相当ですが、ムクはより凄絶な朽ち方というか……他の巨樹を見たことがないですが、なるほど、これでもまだ良い方。汗
静神社はともかく、ここから北上して常陸太田方面は他にも巨樹がありますし、自然も険しくなって良い感じです。
シームレスに福島入りしてしまいそうですが。ぜひ。笑