巨樹たち

宮城県仙台市「満福寺の黒松」

絵になる寺町のクロマツ

 2024年が明け、今年も仙台総鎮守である愛宕神社のどんど焼きに行ってきました。
 ニーパーロク(286号線)で広瀬川を渡った先、密度感ある街並みの荒町はラーメン激戦区でもあるらしく、いくつも行列を見かけました(が、おいしいタイ料理を頂く。小さくてユニークな飲食店も多くて楽しい)。
 少し歩けば、寺町なのだと気づく。と、ほぼ同時に目に入ったのが、この見事なクロマツの立ち姿。

 ここは真言宗のお寺、満福寺。
 聞けば、本体は境内にある毘沙門堂の方らしい。実際、「荒町の毘沙門天」みたいに知られている様子。
 勝負運、商売繁盛、金運にもご利益ありとされている毘沙門天。この荒町の雰囲気によく似合っています。
 頻繁に参拝客が訪れる他、毎日の散歩コースにしているという感じの方々も多い。実に下町っぽい、のんびりしたいい雰囲気でした。

 さて、クロマツ、この辺りには樹木が少なく、しかも3、4階のビルやマンションよりも高いくらいの長身なので、かなり目立っています。
 東海道五十三次か何かの浮世絵にしれっと描かれていそうな風情に、東松島市の名松「月観の松」を思い返しましたが、あちらよりも樹高が高い。「幹が長い」とも書きたくなりますが。

 いやあ、見事ないいマツですね。お寺の松が立派だと、これぞ日本の風景! と喝采したくなります。
 マツ、特にクロマツはシブい樹種だと思うんですけど、スギ巨樹のように神さびた雰囲気にはならない気がする。
 やはりどこか絵画的で舞台装置的。マツそのものが神仏の依り代になるとはあまり感じないのですね。
 しかし、それゆえの親しみやすさと絵になる良さがある。それは間違いない。

 天然記念物まではいかず、市の保存樹木。このタイプの銘板は仙台でよく見かけます。
 隣に解説板か地図みたいなものが立っているんですが、なぜか真っ白……純白の看板ってのもシュールなものですが。
 ネット検索してみると、仙台市のサイトの保存樹木一覧でクロマツのデータが拾えました。
 この一覧、それほど大きなものはないながら掲載本数は多く、これを元に仙台の寺社や名樹めぐりを計画しても面白そう。このガイドブックも魅力的……。

 「満福寺の黒松」。
 幹周3.7メートル、樹高29メートル、推定樹齢は300年。
 亀甲のように割れた樹皮も美しく、頼もしく感じられるクロマツです。
 同仙台市の「東昌寺のアカマツ」と見比べてみるのも風流です。

「満福寺の黒松」
 宮城県仙台市若林区荒町206
 満福寺
 推定樹齢:300年
 樹種:クロマツ
 樹高:29メートル
 幹周:3.7メートル

 市指定保存樹木
 訪問:2024.1

探訪メモ:
 満福寺は荒町の東側、最も奥まった位置を占めています。
 参拝者用の駐車場がありますが、地下鉄を使ってもアクセスに不便はありません。

4件のコメント

  • RYO-JI

    あぁほんといい松ですねぇ。
    松はお寺にベストマッチする樹種だけに、この光景は巨樹うんぬん抜きにしても雰囲気ありますね。
    個人的には少しうねったその姿態に魅力を感じます。
    樹高の高さがかえって心配になるくらいで、落雷の被害とかなくどんどん育ってほしいもの。
    あと松ぼっくりが落下してきて当たれば痛そう(笑)。

    仙台市の保存樹ガイドブックもいいですね。
    大切に考えている証拠なので、他の自治体も是非真似して欲しいくらいです。

    • RYO-JIさん
      この日は天気もうららかで、お昼も食べたし、マツをたのしむ余裕がたっぷりあったとも言えますね。
      確かに、マツ巨樹の良さはスギにはない「うねり」ですね。かといってクスやケヤキよりも一本幹気質。
      落雷は心配ですよね。この一角ではこれより高い樹木はありませんし、よく今までご無事でと見上げました。

      ガイドブックはちょっと欲しくなりました。一冊備えておこうか……。
      掲載内容が巨樹的とは言い難いかもしれませんが、自分が住んでいる街だけでも名木やら古木に通じてみるのもいいかもしれませんよね。

  • to-fu

    枝張りの美しさが青空に映えますね。
    これは絶対に晴れた日に眺めてみたい松の木です。

    思えば松の巨樹というと比較的飛び道具寄りのクネクネしたものばかり見てきた気がするので、
    こうしたスタンダードに巨大な松の巨樹というものを探してみたくなりました。
    いや、しかし仰るとおりで巨大なものから順を追うように枯損していく松の木…近場に松の巨樹自体が
    ほとんど見当たらないんですよねえ。現存する松の巨樹や松原も、下手すると我々が生きているうちに
    全滅してしまってもおかしくありませんので、まさに今優先して記さねばならない存在のようにも感じます。

    地方の巨木ガイドブックは発刊が古く既に倒壊しているものが掲載されていることも多いですが、
    全国版では拾いきれない大木、名木が載っていて楽しめますよね。古書店やオークションで
    見かけるとつい購入してしまいます。大抵紹介文がそっけなくて、実際に自分の目で見るまでの
    ワクワク感が保てるのもまた魅力的です 笑

    • to-fuさん
      渡辺センセイの本にもいいマツ巨樹はいくつも載っていましたが、倒れてしまったものの方が多くなってしまったんではないでしょうか。
      もう見られないからと言って本にマジックでバツ印をつけたりはしませんが、文字通りの「巨樹!」として目指せるマツは本当に貴重になってしまいましたよね。
      岩手の北部とか青森にある厳めしいマツ巨樹たちにはなんとか長生きしてもらいたい……。

      と同時に、こういった、ランク意識や網羅意識の強い巨樹本にはまず登場しないマツ巨樹にも注目したくなってきます。
      まあ、マツの場合は特に、周辺のお寺とか庭園とともに「いい絵」「いい風景」が撮れる方向でアプローチするのがむしろ正しいように感じます。
      そう、三保の松原とか、気比の松原もやっぱり良いですし……あの風景を思い出すと、日本の名勝として積極的に撮りに行きたくなりますね。

      地域のガイドブックは好物です。笑 というか、最近、そこから掘り起こすのがメインになっているかも。
      珍しい樹種などは、この路線を当たった方がヒット率が高いですよね。
      これ、今どうなってるかな……と検索する瞬間はソワソワするし、巨樹の姿はもちろん周辺の風景もかなり変わっていたりして、「あれから〇年……」の間に何が起きたのか、考え込むのもまた一興です。

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