……と、興奮にかまけていたのはここまで。
常緑のはずのクスノキの枝にこれだけ葉が薄いというのは、直感としてもやはり良い感じではない……。
冒頭でも触れたこの巨樹の衰弱の原因は、公園整備の盛り土による根の窒息だと考えられているようです。
枝張りの広大さと同様、根張りもかなりの広さがあったということでしょう。
地面に100箇所あまりの穴を開け、竹筒を貫入し、地中に通気を与える処置が行われたそうです。
それでも一時期は枯死寸前まで行ったそうですが、2019年秋頃になって、突然、幹や大枝から直に芽が吹き出した。
これは巨樹が隠し持っていた「潜伏芽」だそうで、光合成を行い、体力を保つ言わば「奥の手」なのだそうです。
巨樹のための公園を整備したことがかえってその命を危険にさらしてしまう。
しかし、相手をよく研究し、適切な手を差し伸べ、消えかけの命を助けることもできる……。
我々人間の多様な面を垣間見る出来事だったかもしれません。
遠方地域ゆえ再びの訪問は叶っていませんが、Googlemapでは、訪問された方が次々と写真をアップされています。
枝のほとんどが枯れてしまっていながらも、もしゃもしゃした緑を直接茂らせている……
昔のような雄大さは見られず、なりふり構わず生きようとしているかのようにも見えますが、
だからこそこの樹の「これから」を見られることに喜びも感じます。
がんばれ、「川棚のクスの森」!