巨樹たち

群馬県高崎市「医王寺跡のクスの木」

北限域のクスを応援したくなる

 個性的なビジュアルの「神代杉」と同じく、こちらも高崎市を走行中、偶然見かけて立ち寄った巨樹です。

 手前の交差点へ通りかかったところ、傍らに太い幹が見える。

(呼ばれている気がする……)

 ……で、とっさにその樹が生えている公園らしき広場に車を寄せました。
 ボリュームのある姿からタブではないかと予想したのですが、北関東ではさらに珍しいことに、クスでした。

 クスといえば、筆者はこの四ヶ月後に九州から始まる長旅へと出発し、十数本連続で巨大クスを見るという運命にありますが(くわしくは「2017年・九州~関東 巨樹旅」をお読みくださいね)、茨城の南部ですらクスは珍しい。
 単純にクスが寒さに弱い南国樹種であるというだけでなく、千葉・茨城での植生を考えると、同じ常緑種のタブやシイが、西日本で言うクスの座に就いている印象を受けます。
 それだけに、群馬県でのクスの姿は目を惹いたということでしょう。

 思った通りで、解説板には、このクスが北限域で生きていると書かれています。
 幹周囲は5メートルと、クスの巨樹としては控えめですが、それは巨樹を見慣れた目でのこと。とても立派な樹に他なりません。冬には降雪すらあるはずの内陸地でここまで育っているのはすごい。

 昔は小学校が建っていた土地とのこと。当時は校庭の樹という絵だったのかもしれません。
 現在、周囲は公園のように整備され、東屋のように使える小屋や、樹の形をしたトイレなどがあって、今もクスが親しまれているのだと暖かい気持ちになれました。

「医王寺跡のクスの木」
 群馬県高崎市中室田町
 推定樹齢:200年
 樹種:クス
 樹高:25メートル
 幹周:5メートル

 町指定天然記念物

 訪問:2017.6

探訪メモ:
 広々としたスペースになっており、車を停め、しばし休憩させて頂きました。

 「北国」に限って言えば、宮城県石巻市の鹿島御児神社にもクスらしき大木がありました。寒さゆえ、この樹の半分ほどしかありませんが……。

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