巨樹たち

石川県輪島市「南志見住吉神社の松」

竜になりかけの大蛇

 輪島市内から少し走って別の巨樹を見に行く途中、全くノーマークながら、ただならぬ姿で視界に飛び込んできたのが、この松。
 「南志見(なじみ)住吉神社の松」。

 とにかく背が高く、アンバランスなほど宙に立ち上がっている姿が目を捉えて離しませんでした。
 これは普通ではない。
 ということは、ブレーキを踏まねばならない!

 マツは二本。
 石垣の上のマツの方が大きく、もう一本は石垣の側面からやや道路方向へとニョッキリ伸びている。
 大きな方が市の天然記念物に指定されていて、その樹高は28メートルもある。
 これらのマツ以上の高さのモノがないので、被雷のためのアースが取り付けられています。
 一方で枝は少なく、例えば宮城県「月観の松」の盆栽のような優雅さはあまりない。

 仰け反りながら見上げる。
 傍らの説明文を読んでみれば、幹周は4.6メートルを誇り、その存在感の通りに石川県で第一位のクロマツだそうです。
 マツノザイセンチュウの被害が全国に及び、もはやこれほどのマツは希少。
 この先、十年後、二十年後には、日本のマツはいったいどうなっているのか……。
 一刻も早く駆除法や治療法が発見され、このマツのような巨樹に生き残って欲しいものです。

 解説を読むに、現在のペアは正式な「めおと」関係ではなさそう。
 樹齢や生立ちが定かでないながらも、かつてはもっと太い対をなす一本があり、それに先立たれてしまったのだそうです。
 で、再婚……したのかな。
 今や未練はなさそうですが、夫婦マツだった時にはどんな伸び方をしていたのか。
 心地よい風景の中、想像するのも楽しいもんです。
 偶然の出会いに感謝。

「南志見住吉神社の松」
 石川県輪島市里町9−5
 南志見住吉神社
 推定樹齢:不明
 樹種:クロマツ
 樹高:28メートル
 幹周:4.6メートル

 市指定天然記念物
 訪問:2017.5

探訪メモ:
 駐車場がないので路肩に停車。
 神社には幹周5メートルほどのケヤキもあります。

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