山形で見た「大井沢の大栗」がまだ印象に新しい。
あちらが野生種に近い「柴栗」であるのに対し、こちらは我々に馴染み深い、大きな実をつける「丹波栗」です。
丹波栗はその名の通り、丹波(兵庫県)の原産らしいので、当然野生ではなく、収穫目当てに植えられたものでしょう。
(山形県庄内市「南原の大栗」も丹波栗。健やかな巨樹でした。)
古来ここに蔵福寺という真言宗の寺があったようで、そこに縁がある樹なのではと言われているらしい。
日本各地に宗派や僧侶のネットワークがあったでしょうし、カヤやシイの巨樹にもあるように、飢饉に対する備えとして植えられたのかもしれません。
お寺は今となっては影も形もありませんが、その歴史から樹齢が推定され、330年あまりと表記されています。
ただし、その解説自体、1973年の天然記念物指定の時のものと思われるので、現在ではざっと370年ほどと考証するべきでしょう。
ごつごつした表面は乾いた土くれのようで、相当な古木だと実感させてくれます。