巨樹たち 茨城県古河市「雀神社の大欅」 / 0件のコメント 朽ちつつも往来と時代を見つめる 栃木県最南端の「野木神社のいちょう、ケヤキ」を訪ねた帰路。 運転しながら、あっと声を出してしまいました。 見覚えのある巨樹スポットの名が、偶然目の前に現れたのです。 それが今回の、雀神社。 すずめ神社だなんて、可愛らしいし珍しい。ものの本で見かけたきり、一度で記憶してしまったのですね。 茨城県には度々行くので、いつかそのうち……と思ってはいたのですが、こんなところで出会うとは。 ともかく、この機を逃さず巨樹を見ていきます。 まずは参拝。珍しい焼き物の狛犬がいます。 周辺の道の狭さと裏腹に境内は広く、社叢もあり、小さな双眼鏡で見上げている人が多い。 渡良瀬遊水地が近いからか、この辺りではバード・ウォッチングが流行中なのでしょうかね。 神社に居ついている猫を七五三の家族がかまっていったり、なんとも和やかな雰囲気でした。 「雀」=「鎮め」らしく、川を背にした地形に明確な関連がある。 広大な渡良瀬遊水地がなぜあるかといえば、氾濫を防ぐためですから。 そして巨樹、「雀神社の大欅」。 かつての参道であろう、まっすぐな通りを受け止める位置で、門のようにそびえ立つ2本1組の巨樹です。 無論のこと、アスファルト舗装などなく、牛馬や着物の人たちが行き来していた時代から、ずっとここに立っている樹々です。 参道から神社を見た時、右手に位置するこちらの樹の方が幾分細く、若そうでもあります。 細いといっても、目通りで5メートル以上はありそうな立派な大ケヤキ。 根張り広く、樹勢も良いので、神木としての頼り甲斐をこれからも発揮してくれそうです。 一方で、主にクローズアップされるのは、(参道から神社を見た時)左手に位置する大ケヤキでしょう。 根張り、目通り幹周ともに、こちらの方が明らかに大きい。 解説には幹周8.8メートルとあり、なるほど、このクラスの大ケヤキ特有の岩山のような重量感を備えています。 同じく解説に、「元々2本の樹だったものが癒着してひとつになった」ともあります。 しかし残念ながら、樹体の傷みがはげしい。 ほぼ半身に渡って樹脂のような材料で固められていますが、それでも根幹部に大きなうろが空いてしまっている。 活性炭を詰めてカバーをかけてあったようですが、それも剥がれてきている。 撮る手を止めてしまうような、なんとも痛々しい姿……樹勢も衰えてきているようです。 撮影している間も、前の通りをひっきりなしに車が通っていく。タイミングをはかって駆け足で横断する感じです。 見ての通り、自動車全盛時代こそが大ケヤキに引導を渡しつつある元凶でしょう。 私も、クルマがあるからここまで訪ねて来れたわけで、非難する資格はないのですが……。 しかし、徐々に衰退している日本社会にあって、人口も自動車の台数も、もしかしたら頭打ちかもしれない。 東京のような大都会は別として、この先どうなっていくのだろうな……と、丁字路の朽ちつつある巨樹を見つめ、考え込んでしまいました。 「雀神社の大欅」 茨城県古河市宮前町4 雀神社 推定樹齢:300年以上 樹種:ケヤキ 樹高:25メートル 幹周:8.8メートル(太い方の樹) 市指定天然記念物 訪問:2026.5 探訪メモ: 神社の広い駐車場あり。 周辺の道幅が狭く、入り組んでいます。 交通量もかなり多い印象。観察時には十分気を付けてください。 3キロ程度北上し、栃木県「野木神社のいちょう、大ケヤキ」もおすすめです。 関連