巨樹たち

【伐採】栃木県小山市「胸形神社のエノキ」

来るのが遅かった

 栃木県南部の巨樹探訪のリサーチ時、目を惹いたエノキの巨樹。
 幹周は6メートルとあり、エノキとしてはかなり立派な数値です。
 宇都宮から、これを起点として、点を繋ぎながらさらに南下していくというコースを設定しました。
 しかし……

 現地到着し、社叢をぐるぐる歩き回って捜索しますが、それらしき巨大な影は見当たらない。
 6メートルの幹周囲の樹だなんて、これは相当な存在感を発するわけで……と、嫌な予感がよぎります。

 場所を間違えている? いや、それにしては、あるんですよ。解説板が。

 鳥居の左手に何やら囲いがあり、そこにひょろっとした若いエノキが一本。
 さらに嫌な予感が強まり、さすがに我慢できずにスマホを取り出しました。
 結果……これが現在の……「胸形神社のエノキ」。

 このネット時代、事前リサーチをろくにせずに行動してしまうのが悪い。
 そうとも言えるでしょうが、最短経路最小コスパでこなすのが最良の巨樹クエストとは思えない。
 だからたまにはこういうこともある……そうとだけ書いておきましょう。

 Googlemapのストリートビュー、過去の画像データにその威容を伺うことができました。
 これはすごい。これだったら遠路走ってきた甲斐はあっただろうに。

 日本一を誇ったエノキ巨樹、徳島県「赤羽根大師のエノキ」が倒壊してしまったことも大きいのですが、エノキ巨樹は近年数を減らしているように思えてなりません。
 スギやクスのように神木として注目度が高くならず、保護が行き届いていない気がする。
 樹種の性質としても、気温上昇や菌類の繁茂にやられやすいような印象もあります。

 「胸形神社のエノキ」がいつまで存命だったかわかりませんが(ストリートビューの画像は2014年らしい)、さすがにもう解説板は外した方がいいのではないでしょうか。それは失われたわけだから。

 空振りに終わって少々疲れた気分になった。
 それは確かですが、こうして南下ルートを選んだことで「野木神社のイチョウ、大ケヤキ」や「雀神社の大欅」に出会う機会を得られたのもまた事実。
 これも縁。亡き巨樹が導いてくれた一期一会。

探訪メモ:
 胸形神社(栃木県小山市寒川1730)は、その名のとおり九州の宗像神社から勧請されたそう。
 境内にある万葉集にあるという防人の歌の碑も歴史の古さを感じさせます。

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