巨樹たち

岩手県盛岡市「川目吉田氏の千本カツラ」

近年新たに加わった千本

 岩手県雫石町「七ツ田の弘法桜」を目指す朝、盛岡市で立ち寄ったカツラ巨樹です。
 盛岡市街から東へ、車で20~30分ほど国道106号を進む。次第に周囲が山の風景になり、トンネルも。
 ポケットのように田畑と集落の光景が開けた時、路肩に一目でそれとわかるカツラの木立が見えました。

 スギなどとは明らかに異なる姿の樹があるという樹影による判別ですが、遠目には一本の樹であるのか林立であるのか判然としない。
 言うまでもなく、それがカツラという樹種の特性でもあるわけですが。

 しかし、目前に立てば、やはりこれが人工的な並木などではないとわかります。
 「川目吉田氏の千本カツラ」。まずはすぐそばのお社に挨拶してから拝見。

 多くの幹がひとどころから生育している。
 現在の状態が株立ちかどうか議論が分かれるにしても、根源を探れば単一の樹木だったには違いない。
 カツラ巨樹は、育てば育つほどひこばえを増やし、広範囲にバラけてゾーン化してしまいます。
 岩手県で言えば、花巻市「山衹桂」「稲荷神社の千本桂」がまさに代表例。
 当「川目吉田氏の千本カツラ」は後者ほどはバラけてはいませんが、「千本カツラ」スタイルの一員としてまず申し分ない個体です。

 すぐ足元に水路があり、澄んだ水が勢いよく流れ続けています。
 豊かな水利もカツラ巨樹には必須条件で、この取り合わせも「まさに!」という感じ。
 押さえるべきポイントを押さえたカツラ巨樹として、見ていて清々しく感じました。

 前述のように、これを一本の樹として幹周を測るのは無茶。
 はっきり言って数値を求める気にもなりませんが、12~15メートルくらいの「範囲」は十分あるのではないでしょうか、他のカツラ巨樹と比べてもひけをとらない大きさです。
 それでも天然記念物指定は特にないらしく、市指定「景観重要樹木」、もしくは保護樹木指定とのこと。
 その指定も平成27年とごく新しい。以下、唯一、盛岡市のウェブサイトにあったPDFより……

 千本カツラは市内では珍しい,樹容に優れ地域のシンボル的存在であり,良好な景観の形成に寄与している。
 (2株と思われる。)【指定時推定樹齢:140年】

 付属する写真では、前の道路の様子が全く違います。
 詳しくはわかりませんが、現在の道路を整備するにあたって、このカツラに関する議論があがり、保存樹木指定が決まったのかもしれませんね。

 桜の時期のカツラは、まだ葉が黄緑色の水玉のよう。
 これが数多のグリーンのハートに広がる夏の樹下の涼しさ、また、黄色に色づき芳香を放つ秋。
 どの時期も良いだろうなあ……と思いを馳せました。

「川目吉田氏の千本カツラ」
 岩手県盛岡市第4地割55−2 
 推定樹齢:140年以上
 樹種:カツラ
 樹高:20メートル(目測)
 幹周:10メートル以上(目測)

 市指定景観重要樹木
 訪問:2026.4

探訪メモ:
 前の道路の交通量が少なくないので、見学の際には安全配慮を。
 駐車場はありませんが、転回スペースあり、つかのま停めさせてもらいました。
 根の保護のためにも土の上に乗りいれないように気をつけましょう。

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