巨樹たち

千葉県香取市「香取神宮の神木」

筆頭神木はどれだ

 鹿島神宮、息栖神社とともに、「東国三社」の一角とされる香取神宮。
 筆者は近所出身なのですが、混雑を嫌うあまり参詣はご無沙汰になってしまっていました。
 このたび11月、巨樹を見る目をもって、改めて行ってきました。

 祭神は経津主大神(ふつぬしのおおかみ)。刀剣の神様ですね。
 武道、スポーツ、勝負事にご利益をいただきに来る方も多いようです。

 そのイメージ通り、黒と金が目をひくかっこいい本殿がキリリと周囲の雰囲気を引き締めている。
 鹿島神宮と比べると周囲空間はそれほど広大ではなく、どちらかというと「コンパクトな中に収まりよく」のような印象を受けます。
 その環境を形作っているのが、言うまでもなく、林立するスギたちをメインとする緑濃い社叢なわけです。

 本殿脇のこのスギひとつとっても、けっこうな見栄え。
 幹周5メートル、樹高30メートルは固いんじゃないでしょうか。
 周囲に柵がわりの生垣が造られているのも面白く、境内の他の大きなスギたちもだいたい同じように保護されていました。

 本殿左手後ろに位置しているこちらのスギ巨樹も。
 幹周4メートル級ほどの二本の幹が大きくⅤの字に傾く迫力に、多くの人が足を停めます。
 立て札によれば、「三本杉」とのことで、近寄ると確かに中央部にも枯損したもうひとつの幹が確認できます。

 木々はことごとく立派に生育しており、巨樹基準を満たすスギは見るからに数えきれないほど。
 帰宅後、環境省巨樹DBで引いてみると、出るわ出るわ……。
 データの重複もあるかもしれませんが、幹周囲5メートル以上のスギ多数、幹周囲5メートルのスダジイ、幹周囲4メートル級のタブノキ……
 そして、幹周囲5.2メートルというイヌマキ、えっ、そんなのまであるのか!? これ、現存すれば県下最大ではないでしょうかね(どこにあるんだ?)。

 それら巨樹の中で、筆頭と呼べる神木はどれなのか。
 ちょっと回り道してしまいましたが、どうやら無事探し当てられたようです。
 本殿右手、お守り売り場の奥というか……今一度、このページのトップ写真を見ていただけると「ドン」と立っている太い幹が確認できるかと思います。
 「それ」が「これ」、幹周囲7.4メートルとされるご神木なのでした。
 確かに他のスギを圧倒して一回り以上大きく、きちんと手入れされているおかげか樹勢にも不安はありません。

 単に大きさだけを見て、「このクラスのスギならたくさんある」とか言うこともできるでしょう。
 しかしここはやはり、香取神宮という空間全体を味わい、評価すべきもの。現地では、大杉もその一端を担っているに過ぎないのだと実感します。
 リサーチしていると、「亀甲山」というワードが出てきますが、これは「きっこうざん」ではなく「かめがせやま」と読むそう。
 利根川南岸、香取神宮が鎮座する12万平方メートルにおよぶ丘陵地を指しており、森林に覆われたこの全体が県の天然記念物に指定されているそうです。

「香取神宮の神木」
 千葉県香取市香取1697
 推定樹齢:不明
 樹種:スギ
 樹高:33メートル
 幹周:7.45メートル(最大のもの)

 社叢全体が県指定天然記念物
 訪問:2024.11

探訪メモ:
 駐車場キャパはかなりありますが、初詣は覚悟が必要。
 例祭は4月。こちらも賑わいます。
 一方、「式年神幸祭」は12年にいちど。次回は令和8(2026)年の開催だそうで、「約3,000人の氏子による約4kmにおよぶ大行列は圧巻!色鮮やかな御座船が水郷を巡る様子はとても幻想的で、時代絵巻さながらの光景が広がります。」

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