2024年・富山県魚津市巨樹探訪2

豪雨の上越を抜け、魚津へ

 富山県魚津市へ向かう旅、2日目。朝5時の目覚めの景色はほぼこんな感じ。
 目の前に水平線が広がってたらなお良かったんですが(魚津で車中泊したRYO-JIさんは実際そうだったようです。うらやましい)。
 寝袋を開いて掛け布団にしてましたが、結局暑くて押しのけたらしい。

 セブンイレブンでパン&コーヒーを購入、車内で朝食していると、隣のオシャレ軽バンの若い男が愛車を撮影し始める。
 ははあ、夜中にロックをマズってビービー言わせたのはあいつだな。
 (リモコンキーで車内からロックした場合、ドアの物理キーで開けようとするとイモビが作動します。ご注意。)

 この時点でも傘必須な降りでしたが、車泊の朝は散歩するに限る。
 1年前の停泊時にも朝散歩で立ち寄りましたが、この近くに城址がある。「子供好きのお地蔵さん」のいる地蔵堂と大ケヤキがなかなか良かったんだ。

 ところが、なんということか。愕然としてしまいました。
 大ケヤキ2本は影も形もなかった……。
 鉄板が敷かれ、重機もまだ駐車してあったところから推測するに、切られたばかりだったようです。

 ああ……なんという。
 2本とも幹周3~4メートルくらい、個として特筆すべき巨樹ではなかったかもしれませんが、彼らが創り出していた「場」がなんとも暖かかった。
 奥の太い方のケヤキは、こうして見ると芯に空洞がありますが、まだまだ深刻なものではないはず。

 手前のケヤキなんて、芯までしっかりしていて材がまことに密。
 何か、幹や大枝のレベルで切らねばならない事態が起きてしまったのでしょうか。
 それとも、地蔵堂含めてこの一角が再開発されるとか?
 いや、こう書いたら失礼だけど、それはなさそうに見えるけれど……。

 巨樹の管理は大変だし、お金もかかる。様々な事情があるのは存じています。
 しかし、つい去年思いがけず訪問し(往時の風景をご覧ください……)、「朝から縁起がいい!」とまで思わせてもらっただけに、この姿は悲しい。
 こんな思いをするくらいなら、いっそ知らないままの方がよかった……とさえ。
 そういうこともあるものです。

 それ以降は散歩する気にもなれず、涙雨の中を引き返してきました。
 まあ、降りもかなり強くなってきましたし。
 旅路を再開することにします。

「天神社の大スギ」

 富山県へは日本海に沿ってただまっすぐ進めばよいのですが、この朝一番の喪失感が内陸の妙高市へと向かわせました。
 山深く、探せば数多くの巨樹が見出せそうな地域だからか……。
 オモテスギ型と思いきや、はるか上空で変形する「天神社の大スギ」に心の隙間を埋めてもらいました。

 で、再び日本海まで戻りました。
 海を見れば広々とした気持ちにはなりますが、雨は強くなるばかり。

 糸魚川市、道の駅「うみてらす名立」で昼を迎える。
 魚市場の風情もあり、深海魚のデコレーションには屈指の水深を誇る富山湾の気配も感じることができますね。

 どうやら降水量がピークに。多くの人が観光を諦めて退避しているような感じ。
 気温も低く、こんなコンディションで冷えたビールに海鮮食ってもウマくないんじゃない? と勘繰りたくなるような。
 こちらもズボンの裾はびしょ濡れ、何の風情もない(が、とりあえずは温かい)味噌ラーメンをすすり、行き先を見失って途方に暮れる。

 ああ~……もう帰っちゃってもいいかなあ……(昨日とは別の意味で)。
 と、ふてくされてスマホを見ていると、旅の真っ最中にスマホなんか見ちゃう時点でかなりふてくされているのですけれども、ちょっと驚いた。
 なんと、魚津は降っていないという。何のバリヤーがあるのか、夕方までは曇りマークなのだという!

 いやこれ、進むしかないでしょう!
 沈殿コーンをレスキューするミニゲームを強制終了させ、車に駆け戻りました。

 (図はその日時の雨雲レーダー。魚津の降雨は最も薄い白色、なぜかところどころ穴まで空いてる)

 そうと決まれば一路。魚津には見るべきものがいくつもあるのだ。
 シュォォォォーと通過しましたが、糸魚川市のこの辺りの港町風情もとてもよい。
 いつか、いつか来よう。

 実は、道の駅近辺でも「電柱島」というナゾの珍風景をチェックしていました。
 角度的にダッシュカムには映らなかったものの、車窓から見えた。雨でも逆に映えそうな景観ですが、現地で実物を見たら……あーうんうん、あるよね、ああいうの。そういう感じでした。笑
 ご興味ある方はこれも是非。

 いらない情報ついでに、これなーんだ。(突然のクイズコーナー)
 座礁した船! ではなく、道路をくぐって横断するための地下道の入り口なんですね。なあんだ!
 雪国ゆえか、新潟県や富山県を走っているとよく見かける設備ですが、こうして遊びをもたせた形状バリエーションがやたら多くて楽しい。
 クジラやサカナやイカやカニみたいなのもあった気がしますが、車中泊の夢の中で見たのが混じってるかもしれません。

 ずんずん走って、15時前、さあいよいよ富山県魚津市ですよ!
 予報通り雨は降ってない。巨樹へ続く道は乾いている!(これは良い意味です)

 ここで出会った「黒沢稲荷の大杉」、これがまた、文句なく素晴らしい巨樹でした!
 突っ走ってきて本当に良かった。報われました。
 無我夢中になって撮影していると、山の向こうから遠雷が聞こえ、気圧が下がって冷たい風が吹き始めました。
 雨雲に追いつかれたのか。
 それでも撮影を諦めたくはないので、小走りで行ったり来たり。
 用水路にはくれぐれもご注意!(すげえやべえとこに三脚立ててしまった人)

「黒沢稲荷神社の大杉」
「大沢の地鎮杉」

 続いて、こちらの大杉も素通りするわけにはいきますまい。
 個別記事本文にも書きましたが、こちらの「大沢の地鎮杉」の方が前者のスギよりもだいぶ知名度が高いのです。
 前回の洞杉探訪時から記憶にあり、「これが話に聞く地鎮杉か!」といった感慨を覚えました。

 そんなこんなで、日暮れ前に魚津市街のホテルにたどり着きました。
 本日の移動は上記のような感じ。妙高市への寄り道がちょっとそう呼べないくらい強引だったかもしれませんが、その時の気分がこうだったので、これで良しです。
 対して、魚津市の巨杉2本は市街地から驚くほど近い。割り算すればどうってことないんですよ(巨樹探訪算数)。

 ソファのあるお部屋。なかなかよろしい。
 雨はじゃあじゃあ降っていますが、億劫になる前に買い出しに出ました。
 地方スーパーを訪ねるのも欠かせない旅の楽しみのひとつです。お土産も買えますしね。
 ショッピングモールでは、食べ物はもちろんのこと、併設の書店がなかなか良く、つい時間を費やしてしまいました。頼れそうな書店があると、ぐっとその街に住んでみたくなる性分です。

 本日の気取らない(しょうもない)夕飯風景。
 上のはすり身の揚げたやつ、串カツは八丁味噌味。
 富山県全体がそうなのかはわかりませんが、食品面では名古屋と岐阜の影響が強いように感じました。

 さて、あくる日、いよいよお仲間二人と合流しての「洞杉」探訪です!
 早起きしましたが、宿の朝ごはんはしっかり頂く派。
 なにい、フリーカレー? と、たんと盛って席に着いたとたん、宿泊者全員のスマホがアラームを放ちました。
 能登で震度5の揺れ。一時、津波警報も出て、戦々恐々としました。

 今回の行先を決めるにあたっても震災の影響を懸念せざるを得ませんでしたが、輪島や珠洲がとても心配です。
 巨樹サイトであるからには、以前訪ねた奥能登の巨樹の「その後」も気がかりですが、嫌な予感がよぎるあまり「その後」をいまだにリサーチできていません……。

 幸い、魚津にはこの朝の地震の影響はなく、予定通りに洞杉探訪を……ん?  to-fuさんからメッセージ?

 「おはようございます。今、RYO-JIさんと合流しました」 6:17

 うん。確か、集合時間は9時だった気がします。
 待ってくれ、カレー食うから! 行ってきますッ!

4件のコメント

  • to-fu

    寝起きのファーストショットで笑ってしまいました。とても道の駅には見えません。ド、ドウスギグン!?
    似たような風景が広がる新潟沿岸部でも、上越地区だけは古い漁村の風情が残っていてフォトジェニックですよね。
    たしか大昔に1048さんが生まれて初めて野良犬を見たって言ってたのがこの辺だった記憶があります 笑
    あの辺も撮り歩けたら楽しそうですが、そもそも新潟県自体が遠すぎて行くなら何らかの大きな目的が欲しくなってしまう罠。

    能登地震は遠方に住んでいるともう済んだ過去の出来事のような扱いですが、身を持って余震を味わってみると
    現在進行系で続く大災害なのだと実感できますね。未だに全壊か半壊か被害認定が出ず、取り壊せない家だらけだと聞きます。
    巨樹をとっかかりに少しくらい能登の現状を見て来てもよかったのではと、帰ってから何度も思ったり…
    しかしあの余震にビビらされた者としては、下手に向かって自分まで被災したのでは迷惑千万だし、という気持ちも。
    いずれにしても改めて自分の目で見に行ておきたいエリアです。

    • to-fuさん
      そうなんですよ、すごく長くて広いと言っても北海道とは全く違って、他県との接続も多い新潟県、なかなかそれそのものを味わい尽くせない予感が。
      でも、写真映えしそうなところも多そう……いや、実際多いですよね。
      出身からして漁港ならまかせろ! 野良犬なんてざらにいたぜ。というわたくしですが笑、糸魚川あたりには郷愁もありつつ、東国の太平洋側にはなかなかない情景だと感じます。
      富山県まで出てしまうとまた少し様子が変わりますし、いつか夕陽沈む浜で翡翠を探すんだという夢を捨てずにいたいなと(多分見つからない)。

      サイエンスZEROで奥能登の地震メカニズムと道路の被害について解説していましたが、あそこまで土砂崩れや崩落が多発していたとは……と、今さらながら呆然としました。現在の状態への復旧までも、ものすごい尽力があったんだなと。
      時間が経って平気になったから検索してコメント追加しておこう、だけではなくて、能登には実際に足を運びたいものですね。
      以前訪ねた時同様にとはいかないかもしれませんが、巨樹も個性派のがありますし、自然は美しいし。
      震災の影響含めて今現在の姿をゆっくり見て知って、泊まって、応援したいものです。

  • RYO-JI

    初車中泊の朝の景色がこれだったら車中泊が嫌いになっていたと思います(笑)。
    いえ、ほんと魚津港は良かったですよ。
    知らなかった合流までの出来事がわかってとても面白いですね。

    「電柱島」はもちろん気になって見てしまいました。
    うん、まぁ、そういう感想です(笑)。

    糸魚川市と言えば、数年前に起こった大火災を連想せずにはおれません。
    能登地震も同じように災害によって人生が変わってしまった人もたくさんいると思うと言葉がないですね。

    • RYO-JIさん
      まあ、あれです、ちょっと灌木の茂りの多いトコに停めてしまっただけです。笑
      車泊は周囲が暗すぎるのも明るすぎるのも難、閉鎖的すぎるのも誰もいないのも難ですからね。
      魚津での車泊はホントいいなと思いました。今度やってみたいです。
      電柱島は、そう言いつつ撮らなかったのを後悔してます。撮っても、「あ、ううん」なんですけど、まあ気は済みますよね。

      糸魚川の火災、ありましたね。震災もそうですが、瓦屋根を載せた古くからの建築はどんどん姿を消していってるはずです。
      建っていたとしても、そこで人が活動できなくなれば家はすぐダメになってしまいます。
      言われてみれば、あまり後回しにしていると撮れなくなってしまう景色かもしれません。

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