2024年・富山県魚津市巨樹探訪1

猪苗代湖をかすめ、新潟を縦断していく

 2024年、6月初週のこと。
 巨樹写真仲間のto-fuさんRYO-JIさんと、数年ぶりのサミット(たのしい会合)を催そうではないかと話がまとまり、富山県まで遠征してきました。
 遠征には冒険がつきものですが、日本にもかかわらず「アルプス」なぞという地域に対して鉄砲玉するわけにはいきませんよね、いい大人なんですし。
 としたところで、そうだ、わたくしたちには素晴らしき洞杉(どうすぎ)があったじゃないか! と。適度な冒険があり、同時にものすごい釣果(写真)が約束されている高エネルギー地帯です。
 そうと決まれば行くだけ。
仙台~魚津、およそ500キロくらいの道のりを走り出したのでした。

 そう、素晴らしき洞杉群には、2017年、個人的に探訪を果たしています。
 ただし……まあ、いろいろあった(詳しくは探訪記「洞杉及び岩上植物群落 伝説の杉群落をもとめて」をお読みください)。
 深夜に富山まで一気走りして車中泊、翌早朝に洞杉アタックと、あの時は我ながら随分頑張ったもんですが、……750キロ以上一気に走ると人間性が破壊される。そう身をもって知りました。
 洞杉探訪にもある程度体力が必要ですし、今回はちゃんと移動日を確保します。

 福島市を通過、郡山の手前で西に進路をとり、猪苗代湖の北岸をかすめる。
 昼手前、時間に余裕があるとみて、ちょっと引き寄せられてみたりして。

 子供の頃含め、幾度か来た記憶がありますが、シンプルにいいですね猪苗代湖!
 湖岸のドライブも良かったし、十和田湖でも似たような感覚に陥りましたが、特有の静けさと広大さを前に、危うく満足しかけてしまいました。
 「うん、なんかもう、帰っちゃってもいいかな……」なんて。やばいやばい。

 自分の頬を自分でビンタしつつ、猪苗代湖東岸の巨樹も数か所訪問しました。
 なかなかに良い顔ぶれでしたが、多少煩雑になってしまう感もあり、後ほど別にまとめてみたいと思います。
 (写真左下は心霊ではないですよ、念のため)

 北陸、もとい新潟そのものへの訪問にも同じ問題を抱えるのですが、新潟県が長すぎる。
 今回のルートでは、会津を通過後に阿賀町から新潟県に進入するので(この辺、巨樹的には日本最大のスギともいう「将軍杉」で有名ですね)、まあ25%分は勘定から除外できるはずですが、それでも延々と新潟県……
 ここでもいっそちょっと佐渡島に渡ってしまいたい衝動に駆られました。誘惑の多い旅だ。

 さて、すでに時間的余裕もなくなってきたので(失礼、湖でくつろいでいたのは?)、本日中の新潟県での探訪は一か所に絞ることとしました。

「行塚の大榎」

 省略ではない。これは厳選である。
 長岡市の「行塚の大榎」は、そういう通(ツウ)の期待に十分に応えてくれる巨樹です。
 スギ満ち溢れる新潟県にありながら、全国でも有数と呼べる素晴らしいエノキ巨樹でした。

 ぽつんとある孤立樹で、周囲の田園風景がまたいい。
 巨樹の来歴を思い浮かべつつ、さまよい歩いてしまう自分がいます。

 そして、柏崎市辺りで日本海へ出たとたん、水平線への日没。
 ああ……日本海ってやつはどうしてこうドラマチックなのだろう。思わず停め、撮らずにはいられません。
 これだけ見事なら当然とも思えますが、路肩に三脚を据えるカメラマンの姿もいくつもありましたよ。

 日没後に上越市入り。
 周囲が本当に真っ暗なうえ、若干のプライバシー風味も考慮して写真を控えたので、テキストのみで。

 「道の駅よしかわ」には、自分のごとき仮眠組に必要なものが一通りそろっており、昨年5月にもお世話になったのでした。
 なんだ、今回の旅のテーマは「あぶない橋をわたらない」なのであろうか? いや、考えるのが面倒なだけ……

この日のおおまかな走行

 隣接する温泉施設からあがってくると、雨です。
 広い駐車場には車泊の小さな村ができつつある。見た通りのキャンピングカーは1台、今時はハイエースをベースカーにしたものが多い模様。それが3台。
 他、ミニバン2、軽バン2、バンでないのは自分くらいか。 
 それらハイエース改の屋根には立派な通風設備があり、雨夜にはちょいとうらやましいが、まあ、これ以上暑くならないなら何とか眠れる。

 ……とか言いつつ、長い夜をずっと車中で過ごすのはやだな。と、洗濯しに行ってました。笑
 車で数分のところにコインランドリーが存在。「道の駅よしかわ」の☆がまたひとつ増えてしまったわけです。
 明るいランドリー店内、回転するドラムを眺めながら、やり残した仕事をちょっと小手先でいじる。
 もどって22時半。雨音を聞きながら消灯したのでした。
 よく走った。おやすみなさい……。

 (つづく)

4件のコメント

  • to-fu

    新潟、長いんですよねえ。果てしない。お住いの方には申し訳ないけど、あの代わり映えしない田園風景がまたしんどくて。
    あの高速道の延々続く平坦な風景を眺めていると、まるで自分の退屈な人生の縮図を見せられているようで実距離以上に心身に堪えます。

    日本海の夕日は本当に美しかったですね。
    恐れながら私もああ、もしこのまま直帰しても不満は残らないだろうなあ…なんて思ってしまいました。
    巨樹を抜きに昼間は集落をぶらぶら撮り歩いて夕方は三脚構えて夕日を撮るパターンの旅を計画しても、これは大勝利確定でしょう。

    しかし今回ワタクシくそ暑い灼熱の旅に出て感じましたが、本当にあの時期を選んでくださった狛さんに感謝ですよ。ベストでした。
    車中泊はやはり真夏真冬にするべきではありません。旅先では日ごとに疲労が蓄積しますから、本来なら疲れを癒やすべき
    夜間の休息タイムに「どう快適に過ごすか」とか考えてる時点で非生産的極まりねえなと実感しました 笑

    • to-fuさん
      風景は美しいし、食べ物もおいしい。しかし、走るのに向いてないのが新潟です……ってのもちょっと違うな、走りにくくないですもんね。
      エンドレス新潟! のあの感覚は県民の方も否定されないはず。あれで「いや別に……」となるのは、そらおかしいぞと。
      特にこの初夏の旅は毎年そうならざるを得ないんですが、限られた日程の中で長大な新潟を走るのがいけないんですね。
      あの夕陽はきっと撮り飽きないと思います。自分なりのいいスポットを探して日本海岸を行ったり来たりして……もう帰ろうと思ったらドカ雪に閉じ込められて春まで出られなくなるとか。
      新潟は、そういう放浪旅向きかも。というか、きっと住むと都ですね。笑

      いや、第一矢を早めに打ってくだすったto-fuさんのお手柄ですよ! 
      7月手前でこれほど灼熱になるとは、足踏みせずにほんとに良かったですね。
      旅経験もちょっとはあると自覚しなくもないですが、慢心油断せず、用心深く計画を立てないと危険な時代かもしれませんね。
      まあ、地方ホテルの方々もコロナ後非常に頑張ってくれていますし、その辺も楽しみのひとつだと割り切るのが良いのですよね。
      巨樹とともに日本各地のイチオシビジネスホテルのブログが作れそうです。笑

  • RYO-JI

    おおー、合流前のそれぞれの旅の様子が知れて面白いですね!
    しかも私にはあまり馴染みのないエリアなので余計新鮮で。
    走行ルートの地図を見ているだけでワクワクしますよ。
    今回私も初めて車中泊を経験したので、狛さんの様子が想像できてリアルに楽しめました。

    • RYO-JIさん
      RYO-JIさんの旅の記録を読んで、そう、やはり違った道のりと体感で来た三名が洞杉駐車場で合流するんだなと、当事者にしかわからないドラマを追って書いてしまいました。
      果たしてコレに価値があるのか!? まあ、書いてる人が楽しいので良いですよね。多分。
      北から富山を目指すとこんな風景です。誘惑があったり、単調だったり。思い返せばこれもいい道中でした。
      車中泊のいいところは、目覚めてすぐに動けて、すぐに、じかに「外」が味わえるところですよね。
      退屈だとかいろいろ愚痴ってしまいますが、時にはその朝の体験が全てを補ってオツリまでくれることもあるんですよねえ。

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