しかし、見どころがないわけでは決してない。
正平23年(1368)年に西福寺を建立した良如上人が民を飢饉から救うために植えたとされる樹であり、まさに寺院における「慈悲の樹」的、シイやカシの巨樹の正道だと言えます。
西福寺は北陸一帯でも指折りの古刹であるため、600年という樹齢にも資料的な裏付けがありそう。
そこまで長く生きた時、スダジイがどんな姿になるのか……。
このリアルがまさに目の前にあると言えば、じわじわと崇敬の念が湧き上がってくるというものです。
もちろん、この寂び枯れた感じが寺の雰囲気に一層重厚感を与えているのも間違いない。
巨樹という言い方をあえて引っ込め、「名木」とか「古老木」と呼んだ方が、いっそ気を遣わないし、ぴったり来ると思いました。
なんだよー、でっかい樹だっていうから来たのに、超がっかりだぜー、とか言わず、じっくりとこの樹にまつわる「意味」を考える。
我々も大人になったものです。笑