徳島・高知 四国巨樹探訪旅3

つるぎ町から戻り、異郷を思う

 徳島県つるぎ町の奥地で、「巨樹王国」の謳い文句に恥じない巨樹たちを目の当たりにした我々は、再び美馬市の方へと戻ってきました。
 想定していた以上の満足感を得られ、朝7時からここまで13時、かなり濃密な時間を過ごした実感があります。
 山道における帰り道はあっけないもので、下り坂の勢いもそうですが、登る時に感じた先の見えない不安が無いので早いのです。多分、4倍速くらい……いや、自分尺度ですが。

 スリルドライブ道中の写真がいっぱいあれば良いのですが、5月下旬とはいえかなりの日照でドラレコがいかれ気味になっており、あまり写真がありません。
 今後、思い出をより力強く形に残そうと思うのであれば、こういう点でも何か工夫をするべきなのかもなとも思います。

 旅という側面での巨樹探訪。
 これもかなり深く、魅力があるということを伝えていけたらなあと思うのですね。

 美馬市街に降りてきて思うのは、つるぎ町の深すぎる山々も、実際距離としてみれば大して遠くではないということです。
 こんなに近いところに、あんなに深い山と山世間がある。
 その事実がちょっと信じがたいような後味を残し、頭がぼーっとするのでした。

桑平のトチ

四国第一位、壮大なトチノキ

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「桑平のトチ」
 徳島県つるぎ町一宇桑平
 推定樹齢:500年
 樹種:トチノキ
 樹高:20メートル
 幹周:8.6メートル

 県指定天然記念物
 訪問:2019.05

 つるぎ町での本命と言っていい四国第一位のトチノキ。
 トチの巨樹の「必ず探訪困難な場所に立っている」という条件はここでも生きていて、オフロードではないながら、かなりの秘境と言える場所です。
 しかしながら……だからこそか、トチの巨樹は毎回感動を与えてくれます。
 中でもこの樹はすごかった!

桑平堂の大スギ

つるぎ町の端正な基準樹

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「桑平堂の大スギ」
 徳島県つるぎ町一宇桑平
 推定樹齢:500年
 樹種:スギ
 樹高:48メートル
 幹周:7.8メートル
 (地上1.3m実測)

 町指定天然記念物
 訪問:2019.5

 「桑平のトチ」からわずか数十メートルに位置する大杉も忘れずに。ここまできておいて忘れてしまうなんて、ナシですよ。  すっくと立った樹で、我々の幹周囲実測第一号の役を買って出てくれたのでした(樹が立候補したわけではない)。

 向こうに見える風景、そこはモータリゼーションから切り離された緑の地獄です。
 集落があって、電気や電波は通じていたとしても、人の営みとしては自給自足要素を決して切り離せないのではないかと思う土地でした。

 いいところですねえ、なんて安易に言って住んでみると、1週間で人生観変わりそうだ。
 きっと、お隣さんからなんだか馬鹿でかい獣肉(血まみれ)を差し入れされたりするんだよな。

 ……そう想像しただけでもドキドキしますね。
 人生何度目か、また生き方を変えたい時がやってきたら、その路線もあるかもしれない、とちょっと考えてしまいました。
 そう、つるぎ町で思うのですが、人生変えたければ、何もインドまで行く必要もないのじゃないか、と。

 さてさて。平地に降りてくると、ただただ空腹だけがリアルに感じられるのでした。
 この時点で14時も近い。興奮しきりでまるきり考えていませんでしたが、昼食はどうするのだ。
 本当は何か軽食を携行して巨樹のそばで休憩するのがよかったのかもしれませんが、ついチャンスを逃しました。
 野立て珈琲の心得があるto-fuさん、RYO-JIさんは巨樹のそばで珈琲休憩を、なんてオツなことも考えておられたようですが、僕がずんずん行き過ぎたかもしれません。すみません。

 なかなか候補もなく、時間も昼を過ぎたので、途中にある(そして昨日おあずけを食った)道の駅・「貞光ゆうゆう館」のレストランに立ち寄ることにしました。
 ハンバーグ、カツ、カレー、からあげなど、一定のラインナップがあってありがたいのですが……ん? なに? ワニ料理って……

 すると、to-fuさんが、勝手に覚悟完了したような目つきで水を飲みながら言うんです。
「ふう……ここへ来てこれか」
 サメの次はワニ!? (※かつて我々はサメバーガーというのを食ったことがあります)
 いやいやいや! 阿波尾鶏定食(たいへんに高価)ならまだしも、つるぎ町は別にワニの産地でもなんでもないですよ?
 注文聞きのお姉さんに対し、彼が自動的に「クロコ3つで!」と言い出さないとも限らず、場を一触触発の緊張感が支配しました(大げさ)。

 結果として、実に没個性無難な、カレーやかつや唐揚げをいただいたんですけどね。うん、つまんない選択だった。
 おなかすいてて、普通のごはんで満たしたかったんです。
 とはいえ、この遅い昼食の不完全燃焼は、3人の翌日の昼食に過度なアクセルを加えてしまうことになるのですが……それはまたその時に。

 勿体振る必要もない話題ですが……まあ。
 旅路はこれから西へ進路をとり、つまり徳島を横断します。そこで今日一番の大物登場。

加茂の大クス

一樹、森成す三加茂大楠

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「加茂の大クス」
 徳島県三好郡東みよし町加茂
 推定樹齢:1000年
 樹種:クス
 樹高:23.35メートル
 幹周:16.72メートル
 (2019年修正値)

 国指定特別天然記念物
 訪問:2019.5

 巨樹探訪の道に足を踏み入れたなら、必ず意識することになるカリスマ的巨樹……国の「特別天然記念物」です。大雑把に言うと、生きる国宝!
 国指定天然記念物の中にはいくつか肩書き負けしているものもある……とは個人的意見ですが、この樹については何も異議はありません。
 とにかく巨大。壮大。
 あまりにも存在感が桁違いすぎて撮影者をダメにしてしまう大巨樹です。
  こういう偉大な存在を訪ねる際には、ルートとともにテンション管理も意識すべき。
 何を小難しいことを言ってるんだ? と思われそうですが、特天で受けたエモーションのままに訪ねて来られる他の巨樹さんたちの立場になってみろよ、たまったもんじゃねえぜ、ってことです。

 それからは南に進路をとって一気に南下、高知県高知市にまで到達! という力技。つまり、旅は続きます。

 美馬市から出発した我々の巨樹探訪の旅路は、つるぎ町の奥地へ南下、カルチャー・ショックに打たれて逃げ戻り、その勢いで徳島を横断しました(超要約)。

 グーグルマップさんでは、この距離・時間で出ていますが、実際にはこうは行きませんよねえ。
 それが四国。

生まれて初めて高知県に踏み込む

 徳島の西の端っこを超え、高知自動車道まで高速道を走る。そこからは一番下(南)まで延々南下。
 朝7時から素晴らしい巨樹を8箇所も探訪し、秘境的光景ばかりを見て、ちょっと感覚もおかしくなっています。もちろん疲労感もある。
 この2時間強の走行、同乗のお二人のナイス・トークがほんとうに有難かったです。
 何を話したのかは全く覚えていません。

 17時にならんかという頃合い、ぱっと視界に街並みが飛び込んできました。
 5月なのに17時でこんなに明るいというのは、やっぱり緯度経度の差異を実感するほど遠くに来たのだ、と達成感を感じた記憶があります。
 高知市はみるからに南国です。
 関東、南房総あたりもけっこうなものですが、やはりこちらの方が南国具合に気合が入っている。路面電車もいい風情ですねえ。
 ヤシやシュロやソテツが当たり前のように繁茂しています。

 さてはて、我々もこの道のベテランになりつつありますから、街中にあっても、それなりの立ち振る舞いというものをしなければならない。
 ということで、本日の宿泊には、高知でナンバーワンのホテルを予約してあります。
 よし、ここだな。そう書いてある。たどり着いたぞ!

 そしたら、お車は別のところです、ってんで、すぐさま立体駐車場に送り込まれました。
 いざこうして車から離れてみると、久々に文明社会に降りてきたというような感じがしました。
 まあ、途中からは街中も走りましたが、数々の個性豊かすぎる巨樹に打たれ、秘境を味わったことが、感覚を大きく揺さぶっていたのだろうと思います。

 日はまだまだ明るいが、時刻としては宴を始めてもまあ不自然ではないくらい。
 ここじゃねえか、というお店に目をつけて(しかし決して予約なんかしないところが男らしいと思っている。)、ぶらぶらと高知の町を流していきます。
 繁華な街ですが、そこはやはり四国の一番南の方、東京大阪名古屋みたいな巨大都市に毒されていない、特有の雰囲気を感じることができます。
 この路面電車もそうで、路面電車と言えば、熊本や広島や長崎やなんかを思い出しますが、個人的に好きな街が多いです。
 いや、路面電車自体はシステムが把握しづらいこともあって、乗るのは苦手なんですけどね。笑
 そういう街の規模、そこからくる雰囲気が好きなのかも。

 「日本三大がっかり名所」のひとつとされているらしく(編注:誰かがそんなことを言っているのを聞いた気がするだけ。ということにしておきます)……そう言われると俄然見てみたくなった「はりまや橋」。
 なんかこう……こんな大きさの画像にして表示するのも、サーバーにこの画像を保存するのすらもったいなくなってくるような「名所」ですねえ。確かにねえ、うん。
 外国からの観光客さんも、なんか困った顔をしていましたよ。
 しかし、それゆえか、それなのに、か、どたばた渡った我々はずいぶん楽しそうだったよね、と振り返って思います。

 しかし、はりまや橋のとこに植えてあったセンダンが満開で、これはきれいでした。とてもいい匂いだったし。
 センダンの巨樹も見ましたが、この香りは、初夏の四国南国の香りとして記憶に残りました。

 高知市の雰囲気は、我々、街撮りの徒を引き付けるものがあるように感じます。
 またカメラ片手にじっくりと歩き回ってみたいもんですね。
 お気楽に再訪を誓います。

 トラディショナル・スタイルのお店に入り、高知に来たんだから、カツヲを食べないと。いや、僕は生もの得意じゃないんで、食べないんですけどね(結局何なんだ)。
 なんか高知らしいものを食べていきたいという気持ちはあり、ウツボの唐揚げを注文。ふわっふわで、まったくたんぱく、ポン酢によく合います。高知はカボスどころなので、ポン酢もいい。クロコはダメでもウツボは良いという旅です。

 巨樹談義、カメラ談義などを交えつつ、たのしく2時間が過ぎました。
 タコやきびなごのてんぷらも美味しかった。

 今日の巨樹探訪体験があまりにも濃密で強烈だったために、それについて評論めいたことを話そうという気にはなりませんでした。
 ただ、高知でナンバーワンのホテル(しつこい)に戻って、たくさん撮った写真をプレビューしてみるのは大変に楽しみです。

 スリルドライブの連続だったので、疲れはある。
 あのつるぎ町を走ってきたんだから……。でも、つるぎ町を走ったことを思えば、たいていのところは走れそうで、度胸はちっとつきました。 

 翌日は翌日で早いんです。5月ですが、高知は30度とか。
 8時半集合って、誰が決めたんだ(あなたです)。
 早く起きて、今日南下した高知道を逆走……もとい北上し、すごい……ほんとすごいアレを……

 Macにメモリーカードをぶっ刺したまま、意識を失ったのでした。
 長い一日は終わり、高知の夜は暮れていきます。
 フェリー泊、車中泊の後のホテル泊はやっぱりすごくいい。なんてったって、高知でナンバーワン……

(つづきます)

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