そうして正面に回り、鳥居前での眺望に圧倒されて何枚も撮りつつ、その巨体に向けて近づいていきます。
老杉。「佐久の大杉」は、まさにその言葉がぴったりな容貌をさらけ出します。
いや、老いるというにとどまらず、生きながらに半身はすでに白骨化している。
質感はさっきの剥離部分と同じで、固く乾いており、生気は感じられません。
しかし、大きな杉です。
幹周囲は目通りでほぼ9メートルあり、途方もない年月を生き、樹を超えて巨樹と化した杉特有の風格があります。
これに近い印象を残すものとしてすぐ思い浮かんだのが、同じ県内の「安良川の爺杉」です。
あちらも見るからに年老いた杉であり、前に立つと、これは絶対1000年生きてるはずだ……と納得してしまうような、歳月の重みを感じさせます。
全身のあちこちが朽ち、色あせて壊れ、ワイヤーや避雷針に守られ、命をつないでいる。
しかし、正直言うと、「安良川の爺杉」の前で感じたのは、管につながれて命の終わりが来るのを待っているだけというような、いわば悲壮感でした。
もちろんこれは主観でしかなく、もしかすると全く逆の感情を抱かれる方もいらっしゃるかもしれませんが……その時に受けた痛々しい印象が強く、再訪するには至っていません。